3人の娘を育てながら800頭の和牛を肥育!西海市「みくりや畜産」
長崎県西海市西彼町「まちの駅・ふれあいの里清水」に昨年12月にオープンした精肉店「みくりや畜産」では、自社牧場で育てた黒毛和牛を使ったコロッケが1日に100個完売することもあるほどの人気を誇り、地域の名物となっています。 【写真】3人の娘を育てながら800頭の和牛を肥育!西海市「みくりや畜産」
店の代表を務める御厨晴美さん(30)は、3人の娘を育てながら畜産農家としても活躍しており、「自分たちで育てた牛を、消費者に直接届けたい」という思いから精肉店を始めました。晴美さんは神奈川県横須賀市の出身で、東京農業大学在学中に夫・隆紀さんと出会い、卒業後に結婚して西海市に移住しました。 朝は子どもたちを保育園と幼稚園に送り届けた後、牛舎での仕事を始めます。御厨さん一家が牧場で肥育する黒毛和牛の数は約800頭で、特に力を入れているのが「経産牛」の肥育です。 「経産牛」とは、出産を繰り返した母牛のことで、一般的にはミンチや加工用として出荷されますが、御厨さんは半年以上かけて丁寧に育て直し、肉質の良い和牛に生まれ変わらせます。 畜産の道を歩み始め、牛への愛情を注ぐ日々を送るようになりましたが、「動物が好きで愛情を注いで育てているのに、いつか肉になるために飼っているという現実が受け入れられないこともあった」と振り返ります。 消費者からは畜産動物を飼っている農家が愛情をかけていないように思われることもある中、「愛情しかない」と強調します。 畜産農家として命と向き合う中で、親として子どもたちに“命”についてどう伝えるべきか― 晴美さんは新たな取り組み”絵本の制作”を始めました。タイトルは「おなかいっぱいのいのち」。 主人公は、ハンバーグが大好きな5歳の女の子、ゆめちゃん。絵本では、ゆめちゃんが牧場で牛と触れ合いながら「命の重み」を学ぶ物語が描かれ、「食材が食卓に並ぶまでの過程に命があることを、子どもたちに伝えたい」と語る晴美さんの思いが詰まっています。 彼女の思いが形になった絵本は、12月7日から精肉店で販売が始まりました。「食材の一つひとつに裏側があることを、子どもたちに感じてほしい」と願う晴美さんは、愛情を込めて牛と向き合ってきた時間や葛藤を絵本に込め、命と向き合う畜産農家として、そして子どもたちに命の重みを伝える親として、今後も挑戦を続けていきます。
NCC長崎文化放送