実証で雑草抑制効果が明らかになったアイガモロボ（山梨県北杜市で＝井関農機提供）

　農研機構西日本農業研究センターなどは、全国各地で2年間行った自動抑草ロボット「アイガモロボ」の実証試験の結果を明らかにした。人が機械を使って行う除草は平均1回で済み、従来の有機栽培と比べて58％も減った。一方、10アール当たり平均収量は10％増の424キロだった。水稲の有機栽培で課題となる除草作業の負担軽減に一定の効果があることが裏付けられた。 【動画】自動抑草ロボット「アイガモロボ」の実証試験 　アイガモロボは有機栽培拡大に向け、大規模圃場（ほじょう）だけでなく、農地集約などが難しい中山間地域で活用できる雑草の抑制ツールとして期待される。 　実証試験は有機米デザイン、東京農工大学、井関農機と共同で行った。井関農機のアイガモロボ（販売額約55万円）を活用した。 　東北地方を中心に16県36カ所にある平均40アールの圃場で2021、22年度に実施した。水田1枚に対して1台を使い、3メートル間隔で水田全体を満遍なく走行。田植え直後から約3週間、毎日午前6時～午後4時を基本に稼働した。 　正確なデータが取れた30カ所での除草回数は、従来の有機栽培が平均2・4回だったのに対し、1回に減った。1回も除草しなかった圃場は3割（12カ所）。また、ノビエやコナギなど水稲栽培の主要な雑草は生えるが、同センターは収量に影響しない程度とみる。 　一方、3割を占める11カ所で、うまく動かないという課題もあった。同センターは、水田が平らでなかったり水量が不足したりしていたことが要因とみる。稼働には水位5センチ程度が必要で、田植え前の丁寧な代かきなどが重要だという。（西野大暉）

＜ことば＞アイガモロボ

　太陽光で動き、衛星利用測位システム（GPS）を基に、設定した範囲を自動で蛇行する。スクリューが土を巻き上げて水を濁らせることで、太陽光を遮って雑草の発生と光合成を抑える。