「これがヨーロッパだな」鮮烈ゴラッソを決めた伊藤涼太郎が実感する“本場ダービーの熱波”。「日本代表は盛り上がっていますが…」【現地発】
GKの虚を突く技ありのショットで
1月28日のリンブルフ・ダービーはヘンクが1点をリードして後半アディショナルタイムに入った。STVVのMF伊藤涼太郎がFKのボールをセットし、ゴール正面とファーサイドにポジションを取るチームメイトに視線を向けてから助走した。 【動画】ダービーの土壇場で決めた! STVV伊藤涼太郎の技あり鮮烈FKをチェック! 「キーパーが前に出て、僕のクロスボールをダイレクトに取りに来る…というのがすごく伝わってきた」 助走中の判断で伊藤がニアサイドに向かって直接シュートを撃つと、ヘンクのGKマールテン・ファン・デ・フォールトの虚を突く形となり、STVVが1対1の同点に追いついた。 「キーパーのポジションとかを見て、撃つ前から確信がありましたね。新潟のとき、福岡戦ですごく似ているゴールを決めたんです。あの時もけっこう、確信に近いものがありました」 2023年4月15日、本拠地ビッグスワンで行なわれた福岡戦で伊藤はハットトリックを記録し、3対2の勝利に貢献した。その1点目のFKと、今回のゴールは瓜二つだった。 ホームサポーター側のゴールに決まったゴラッソだけに、チームメイトは宿敵ヘンク相手の同点ゴールを盛大に喜ぼうとした。しかし、殊勲の伊藤は我関せず自陣に戻っていった。そこには『もう1点取って勝つぞ』という無言のメッセージがこもっていた。しかし、2人の退場者を出したヘンクに、STVVはとどめを刺すことができず、白熱のリンブルフ・ダービーは1対1の引き分けに終わった。 自身のゴールに対して飄々とした態度をとった伊藤だったが、1万437人で埋まったスタイエン・スタディオンの熱気には驚いていた。 「そんなに大きいスタジアムでもない。だけど、これだけの歓声を出せるっていうのは、やっぱりシント・トロイデンサポーターの熱さというか。これだけの雰囲気を、あんまり僕は経験したことがない。もっとたくさんの人数が入って、もっと大勢の人がわっと湧くっていうのは日本で経験したんですけど、 この(少ない)人数でこれだけ沸くというのは、正直びっくりしました。『これがヨーロッパだな』というのはすごい感じました」 この日、左サイドハーフとして先発し、88分間プレーした山本理仁もリンブルフ・ダービーの熱気に唸った。 「もう最高ですね。今年2試合ダービーにスタメンで出させてもらいました。やっぱりサッカー選手である以上、ああいう雰囲気でやれるっていうことは幸せです。今年一番盛り上がった試合なんじゃないかなと思います。ただ、勝ちたかったです」 山本は今季、STVVの全22試合に出場しているが、先発は3試合のみ。 「僕は考えすぎると、ハマっていくタイプなんで、あまり考えすぎず、出たときに自分のプレーをして、そういうのをコツコツ積み上げて、スタメンで出たときにやれればいい。 もちろん、(スタメンで出られないときは)悔しい気持ちはありつつ、適度に楽観的に。悔しい思いがなくなったら、選手として終わりだと思うんですけど、そこで深く考えすぎないのが、自分がうまくいくやり方なのかなと思います。 そういう風に今シーズンを過ごしています」
【関連記事】
- 「欧州組を呼ぶ意味がよく分かった」NEC小川航基が森保ジャパンから得た“リアルな刺激”「自分も食い込んでいきたい」【現地発】
- 「創造性がレベチ」STVV伊藤涼太郎、相手の意表を突いた芸術的FK弾に反響!「ニアぶち抜き気持ち良すぎ」
- 19歳にしてオランダで堂々レギュラーを張る日本人GK、長田澪の進化が止まらない! チーム内紛に直面も上々の“プロデビュー1年目”【現地発】
- 「日本人ばっかり出して」「弱いじゃないか!」ファンが不満を抱いたSTVVが100周年で挑む“ユース育成改革”の全容~立石敬之CEOに訊く【現地発】
- 「ガラっと変わった」オランダで鮮烈デビューを飾った三戸舜介が感じている“日本サッカーとの違い”。「今のほうが点を取れるポジション」【現地発】