「書かずには死ねない」 森永卓郎氏が伝えたい「脱・資本主義の奴隷」で人生後半戦、豊かに“生ききる”
2023年11月にすい臓がんステージ4の告知を受け(その後「原発不明がん」と診断)、「もう桜は見られないだろう」と医師から余命宣告を受けた、経済アナリストの森永卓郎さん。 告知の瞬間に頭をよぎったのは、当時執筆中だった書籍のこと。抗がん剤が合わず一時期は生死の境をさまよいながら、命懸けで完成させたのが『書いてはいけない──日本経済墜落の真相』(三五館シンシャ)です。 なぜ日本経済は低迷してしまったのか。増税路線が続くなか、人生を豊かにするにはどうすればいいのか。そして、日本の転落を復活に転じさせるにはどうすればいいのか。 森永さんから、人生後半戦を生き抜くビジネスパーソンへのメッセージをお届けします。
【森永卓郎 TAKURO MORINAGA】 1957年、東京都生まれ。 経済アナリスト、獨協大学経済学部教授。 1980年に東京大学経済学部を卒業後、日本専売公社(現在のJT)に入社、予算を握る大蔵省(現・財務省)に「絶対服従」のオキテを強いられる。 その経験を原点として、「財政均衡主義」という教義のもとカルト化する財務省に斬り込んだ『ザイム真理教』がベストセラーに。 2023年12月、ステージ4のがん告知を受ける。 最新刊『書いてはいけない──日本経済墜落の真相』では四半世紀に及ぶメディア活動で見聞きしてきた3つのタブーに挑み、その背景に存在する「真相」を描き出す。
日本経済を失墜させているもの
経済転落で貧しい国になるか、それとも経済復活を遂げて豊かな国になるか。日本は今、そんな分岐点にあります。 このままいくと、10年以内に日本のGDPは世界ベスト10から外れ、最終的にはミャンマーやカンボジアのような経済状況になってしまうでしょう。加えて、財務省は増税・税負担を続けていますから、稼いだお金の7~8割を持っていかれる社会が目前にきています。 じゃあ、日本が大復活するにはどうすればいいのか。その鍵は「財務省の問題」と「日航123便の墜落」という2つのタブーにあります。なぜならば、これらが日本経済の失墜に大きな影響を与えていると考えるからです。 その理由を説明しましょう。 1980年代半ば、日本経済はピークを迎え、世界GDPに占める日本の割合は18%に達しました。ところが今は4%と、日本経済は30年あまりで4分の1以下に墜落してしまった。世界を見ても、そんなことが起きているのは日本だけです。 ここには2つの原因があると考えられます。一つは、財務省が必要以上の財政緊縮、国民負担増をやったこと。もう一つは、1980年代を契機に、日本がアメリカに全面服従したことです。40年間経済の研究をしてきて、これはもう間違いないと思っています。