宮沢氷魚が表現する好青年の“複雑な内面” 朝ドラ、大河、日曜劇場でお茶の間を席巻
『52ヘルツのクジラたち』では杉咲花に執着する上司役を怪演
同じく、2023年に公開された『エゴイスト』で宮沢が演じたのは、主演の鈴木亮平の恋人・中村龍太役。鈴木が演じる斉藤浩輔にパーソナルトレーナーとして雇われ、やがて浩輔と恋に落ちた龍太。彼はシングルマザーである母親を支えるために、パーソナルトレーナーの仕事のほかに、お金をもらってゲイの男性たちの相手をしていた。龍太は好青年ではあるが、宮沢がテレビドラマで演じてきた役柄とは違い、どこか影があり、複雑な内面を抱えたキャラクターだ。 3月1日に公開されたばかりの最新映画『52ヘルツのクジラたち』で宮沢は、杉咲花が演じる主人公・三島貴瑚を好きになり、その気持ちが執着へと変わっていく新名主税を演じている。主税は貴瑚の職場の社長の息子で、最初は好青年に見え、貧しい生活をしてきた貴瑚にとって眩しすぎる存在だった。貴瑚にリッチな体験をさせ、愛情も注ぐけれど、嫉妬心が強すぎる主税。宮沢は主税の豹変していくさまを熱演しており、本作でもまた新境地を開いている。 まだまだ、たくさんの引き出しを持っていそうな宮沢。大河への出演も控え、お茶の間を席巻中の宮沢だが、テレビでは見られない映画での彼の斬新な演技もぜひチェックしてみてほしい。
清水久美子