“アカデミー賞大本命”で脚光浴びるエマ・ストーンとは?「ラ・ラ・ランド」で世界を魅了 ディズニー実写で主演&製作総指揮も
映画「哀れなるものたち」でゴールデングローブ賞主演女優賞を受賞し、本年度アカデミー賞の“大本命”とも言われるエマ・ストーン。世界を魅了した「ラ・ラ・ランド」でのアカデミー賞主演女優賞受賞や、ディズニーの実写作品「クルエラ」で主演・製作総指揮を務めるなど、着実にハリウッドスターとしての地位を確立している彼女は、どのようにしてここまでたどり着いたのか、その軌跡をプレイバック。映画を愛し、映画に愛される彼女の魅力に迫る。 【写真】美しい横顔に見惚れる…「哀れなるものたち」で主人公のベラを演じるエマ・ストーン ■心を癒す“演技”との出会い 1988年11月6日、アリゾナ州に生まれたエマ。子供の頃から地元の劇団に通い、演技に触れ始めた彼女。7歳の頃からセラピーを受けていたというほど幼い頃からパニック障害などに悩まされ引っ込み思案だったというが、演技を通して人と繋がる喜びを見出すように。 こうして演技に魅了された彼女は、とある放課後に“プロジェクト・ハリウッド”と題した資料を用意して、役者を志すためロサンゼルスへ拠点を移したいと両親を説得。学校を中退しなければならない大きな決断だったが、両親はあっさりと了承してロス行きが決定。エマは「両親は演技が私を満たして幸せにしてくれることだとわかったのだと思う」と振り返っている。 その後、オーディションを繰り返す日々が続いたものの諦めなかった結果、2007年19歳の時に「スーパーバッド」で映画デビュー。この時、製作ジャド・アパトーのアドバイスで赤毛に染めるが、これが思いがけず定着。エメラルドグリーンの瞳と一度聴いたら忘れることのないハスキーボイスと共にエマのトレードマークのひとつになった。 ■初主演からオスカー受賞まで…大躍進の10年間 ハリウッドでチャンスを手にした彼女の元には次から次へとオファーが舞い込むように。「キューティ・バニー」や「ゾンビランド」に出演後、2009年に「小悪魔はなぜモテる?!」で初主演を飾ると、立て続けに「アメイジング・スパイダーマン」や「ヘルプ~心がつなぐストーリー~」などのヒット作に出演。そして2014年に、マイケル・キートン主演の「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」で初めてのアカデミー賞ノミネーションを成し遂げる。 マイケル・キートン自身とも重なる俳優リーガンが再起をかけて舞台に挑戦する姿を描く本作で薬物中毒の娘サムを演じたエマ。本作は長回しが特徴だが、自身にとって初めての経験になったそう。「次の日にもう一度チャンスがある舞台とも違うし、カットして違うテイクを撮るような映画とも違う。シーンの間ずっとキャラクターとして息をして生きなければならないの。それは私にとって新鮮だったし、いつもやりたいと思っていたことだった」と俳優としてまたひとつ成長する機会になったことを明かしている。 アカデミー賞助演女優賞候補入りを果たしたことで、実力派俳優としてさらに脚光を浴びることになったエマ。ウディ・アレン監督作「マジック・イン・ムーンライト」や「教授のおかしな妄想殺人」などに出演後、社会現象を巻き起こした大ヒット作「ラ・ラ・ランド」でアカデミー賞主演女優賞を受賞。そして2018年公開の「女王陛下のお気に入り」でも3度目のアカデミー賞ノミネーションを果たす。 ■製作総指揮と二足の草鞋を履く名女優 こうしてすっかりオスカー常連になったエマ。しかし新しい分野への挑戦を続け、2018年には「マニアック」でドラマシリーズ初主演のみならず製作総指揮デビューを達成。2021年に公開されたディズニーの実写作品「クルエラ」(ディズニープラスで配信中)や今後の待機作の多くでも出演と製作総指揮を兼任していて、エマの新たな映画作りのスタイルになりつつある。 「101匹わんちゃん」に登場した悪名高きヴィランのクルエラの誕生秘話を描いた「クルエラ」の企画を聞いたのは2015年のことだったそう。「長い時間を経て本当に作れるなんて夢みたい」と話していたエマ。個性炸裂の豪華なファッションと共にディズニー映画史に残る新たな歴史を刻んだ。 ■2度目のアカデミー賞受賞なるか「哀れなるものたち」 そんな彼女の最新作として注目を集めているのが「哀れなるものたち」。1月26日(金)に劇場公開される本作は「女王陛下のお気に入り」のヨルゴス・ランティモス監督とエマが再タッグを組むロマンス・コメディ・ドラマ。第80回ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞に続き、第81回ゴールデングローブ賞ではミュージカル・コメディ部門で作品賞と主演女優賞を受賞。賞レースを席巻しており、アカデミー賞の行方にも期待が寄せられている話題作だ。 日頃プライベートについて公に話さないことで知られるエマだが、授賞式のスピーチでは2020年に結婚したデイヴ・マッカリーに「デイヴ、手短にあなたのことから言わせて。とても愛してるし、色々と本当にありがとう」と言葉を贈り話題に。「サタデー・ナイト・ライブ」の現場で出会い結ばれた二人の元には2021年に第一子となる娘ルイーズが誕生している。 作品について「この映画はロマンティック・コメディだと思ってます。ベラが人生そのものに恋をするのです。誰か人ではなくて。善も悪も同じものさしで見て受け止めるベラに、人生を全く違う目で見させられたし、本当に大切なことは何かを教わりました」と述べたエマ。 共演のマーク・ラファロ、ウィレム・デフォー、ラミー・ユセフなどへも感謝の言葉を述べたほか、監督のランティモスへも「ヨルゴス、まだ伝えていなかったかもしれないけれど、あなたには永遠に感謝し続けることでしょう」と言葉を贈った。対するランティモスも「ご存じのとおり、エマ・ストーン、彼女は最高です」と話しており相思相愛な様子を披露。このコンビが創り出す唯一無二の世界を、世界中の映画ファンが心待ちにしているのは言うまでもない。 アカデミー賞ノミネートの発表は、1月23日(現地時間)の予定。前哨戦ともいえる数々の賞レースを席巻していることもあり、大本命としてその行方を世界中が見守っている。もしノミネートを果たせば、4度目のオスカー候補になるエマ。この先どこまで躍進を続けるのか。底知れぬ魅力を秘める彼女の活躍から、今後も目が離せない。 ◆文=KanaKo