航空燃料不足、北海道内でも拡大 国際線の新規就航や増便断念も
航空機燃料の供給不足で、海外の航空会社が国際線の就航を断念するケースが道内外で広がっている。石油元売り各社が訪日客の拡大に伴う増便需要に対応し切れないことや、流通過程の人手不足が要因。訪日客誘致にブレーキがかかり地域経済への打撃は大きく、国土交通省と経済産業省が対策に乗り出している。 【動画】帯広で鉄道模型とジオラマ展示 ドイツの町並みを再現 7~8月に帯広空港と韓国・仁川空港を結ぶチャーター便を計9往復運航する計画だった大韓航空は5月中旬、帯広で給油する燃料が確保できないため運航中止を決めた。約1500人の利用を見込んでいたが、同社の担当者は「われわれとしても戸惑っている。解決してもらいたいが、なかなか難しいのだろう」と語る。 道や空港関係者によると、新千歳空港でも今年に入ってから、燃料不足に伴い国際線の新規就航や増便を断念したケースが複数あるという。 背景には流通過程の構造的な問題がある。省エネによる需要減や施設の老朽化で、石油元売り各社は全国の製油所の統廃合を進めてきた。道内では2014年に現在の元売り大手ENEOS(エネオス)の製油所が原油処理を停止、出光興産の1カ所のみとなった。燃料は船やタンクローリーで空港に運び旅客機に給油されるが、そうした統廃合の結果、長距離輸送の増加で内航船が逼迫(ひっぱく)。トラック運転手の残業規制に伴う2024年問題の影響で、内陸部の空港に燃料を運ぶ運転手も不足している。 台北便が定期運航し、今冬には上海線の季節便が就航した旭川空港では、現時点で燃料不足で就航を断念した例はないが、旭川市交通空港課は「航空各社から燃料の確保が難しくなっていると聞く。今後、就航できない国際便が出てくるかもしれない」と心配する。