広島産カキ苦境「20円値上げ」 漁具高騰に人手不足、生産量伸びず
冬の味覚、カキの生産量日本一を誇る広島県で今年、値上げの動きが出ている。漁具や燃料費の高騰に加え、人手も足りず、養殖業者の経営は厳しさを増している。 【写真】広島でカキ、食べられなくなる? 海水温だけでない生育不良の原因は 瀬戸内海に臨む広島県呉市のカキ養殖業者「新名水産」。水揚げが解禁された10月下旬以降、客が増え続けている。売りは県産ブランドの「かき小町」。身が大きく、甘く濃厚な味が特徴だ。 ただ、販売価格は昨年度の1個150円~200円から、全サイズで20円引き上げ、170円~220円に。養殖用のブイやカキをつるすワイヤの価格が、昨季から1~2割ほど上がったためだ。 人手不足も深刻だ。むき身加工などの作業を担ってきた海外からの技能実習生は、他業種との獲得競争が激しく、人材確保が難しい状況だ。 地元の安浦漁協によると、この40~50年間で40社ほどあったカキ業者は、後継者不足もあり10社程度に減った。さらに海水温の上昇で、思うような生産量が見込めない。新名水産の新名憲治副代表(31)は「10年後も、カキ養殖を続けられるだろうか」と不安を口にする。(山中由睦)
朝日新聞社