全編 iPhone 15 Pro で撮影された手塚治虫作品の実写化映画『ミッドナイト』がヤバかった!
【黒田勇樹のハイパーメディア鑑賞記】
現在web上で公開されている、三池崇史監督の最新作『ミッドナイト』。 なんと、すべての撮影を最新のiPhoneを使って行ったということなのですが…ヤバっ!! ガンアクション、カーアクション、肉弾戦が満載で、これって「動きのあるシーンほど、カメラの性能に左右される」要素で、それをワザワザiPhoneだけで撮ると謳ってやってのける胆力。 客観的に業界目線で見ると「壮大なiPhoneのプロモーションムービー」なんですが、それを超えてキチンと作品と呼べるものになっていました。 実際、小道具や大道具、衣装や特撮、照明、CGなどの美術、メイキングで見られる機材の配置などにはクソほど金かかってただろうから「appleの資本力よ!」と、ハンカチを噛むことしか出来ませんでしたが…。 三池監督の作品で『初恋』という傑作があって、車が2階ぐらいの立体駐車場から飛び出すシーンで突然アニメになる描写があるのですが、のちにインタビューを拝読したところ「現代では、あんな危険なシーン撮れないから、ああいう風にした」と仰っていた記憶があります。 今回もところどころ、カーチェイスのシーンなど原作の手塚先生のコマが差し込まれ、作品を盛り上げられていたので、なんというか『初恋』でアニメを使った経験をさらに昇華させている気がして「上手な人はいつまでも成長を続けられるんだな」と素直に思いました。 実際「カメラの大きさ」は、かなり撮影に制限を与えるので、こういう作品が流行って、技術や工夫の幅が広がっていくことは素晴らしいと思うので、是非、皆様検索してみて下さい。
黒田勇樹(くろだ・ゆうき)
1982年、東京都生まれ。幼少時より俳優として舞台やドラマ、映画、CMなどで活躍。 主な出演ドラマ作品に『人間・失格 たとえば僕が死んだら』『セカンド・チャンス』(ともにTBS)、『ひとつ屋根の下2』(フジテレビ)など。山田洋次監督映画『学校III』にて日本アカデミー賞新人男優賞やキネマ旬報新人男優賞などを受賞。2010年5月をもって俳優業を引退し、「ハイパーメディアフリーター」と名乗り、ネットを中心に活動を始めるが2014年に「俳優復帰」を宣言し、小劇場を中心に精力的に活動を再開。 2016年に監督映画「恐怖!セミ男」がゆうばり国際ファンタスティック映画祭にて上映。 現在は、映画やドラマ監督、舞台の脚本演出など幅広く活動中。