「牛丼1杯分」前回衆院選の費用は1票あたり617円 「職員総動員」の市長選も、民主主義のコストは
衆院選、1票の価値は「牛丼1杯分」
若者の政治離れなど投票率の低下が指摘される中、名古屋市選管は今年2月、障害や病気などの理由で支援を必要とする人が投票しやすい環境を整えようと、全国の自治体でも進む「投票支援カード」を導入した。カードに「筆談」「車いす介助」など支援事項を記入してもらう。また、弱視の人にも投票用紙を見やすくするケースも作製した。担当者は「選挙は税金で成り立っているので、多くの人に投票してもらいたい。『(投票に)行っても変わらない』ではなく、『行けば変わる』という意識を有権者に持たせる広報活動を展開していきたい」と話す。 人、金、知恵を使った自治体の努力も投票率が上がらなければ無駄になってしまう。有権者が自分たちの生活、国の形に意思を表明する衆院選の1票はどれくらいの金額なのか。 前回衆院選の費用約651億円を全国の選挙人名簿登録者数(21年9月)の約1億551万人で割ると、有権者1人当たり約617円となる。名古屋大の山本竜大教授(政治コミュニケーション論)は「(衆院選では)およそ牛丼1杯分の金額で達成される民主主義を高いと思うか、安いと思うか、それぞれの判断だが、私たちは投票する権利を税金で賄っていることを考えると選挙に対する価値観と制度、その運営の意味を考えてみてもいいでしょう」と話す。【真貝恒平】
※この記事は、毎日新聞とYahoo!ニュースによる共同連携企画です。