永瀬廉と板谷由夏、松田元太とMEGUMI 『東京タワー』ねじれていく2つの恋模様
本作に出てくる女性陣は皆それぞれに積極的だ。いつだって自分のペースを乱されない余裕たっぷりの詩史に対して、透に好意を寄せる同級生・楓(永瀬莉子)はもっと直接的で強引に対峙していく。ずっと上の空で心ここにあらずの透に対して、体を動かして少しでも気分が晴れるようにと東京タワーの頂上を階段で目指す。実は高所恐怖症の楓は途中で自身の限界を迎えるが、この彼女の懸命の策はなかなかに秀逸だ。頭の中を詩史に支配されている透にそのままの状態でいくら自分の気持ちをぶつけたところで、まともに取り合ってもらえないだろう。透を励ましたい、気分転換してもらいたいというピュアな気持ちで自分も体を張って頂上を目指し、さらにそこで「この景色が誕生日プレゼント」なんてネタバラシをするその“無邪気さ”には、誰だって心動かされることだろう。 そんな彼女から放たれる「恋ってさ、もっと楽しいものだよ。そんなふうに苦しむためにするものじゃない」という一言にはかなりの説得力が滲み、その手に導かれたくなるのもわかる。ここまでの楓の自発性がないと、透の中に居ついて離れない詩史のことを束の間でも忘れさせるのは無理だろう。確かにここのところ透は詩史との帰り際には“捨てられた犬みたいな顔”ばかりしている。 そして、より積極性を見せ無邪気さを発揮するようになった喜美子も「ねぇお願い、会いたいの」と耕二に初めて強く自身の希望を口に出し、甘えてみせていた。 次週はいよいよ耕二の違和感を無視できなくなった由利が透に接近するようで、かなりの波乱が待ち受けていそうだ。
佳香(かこ)