決して放置してはいけない...「危険なめまい」の特徴と「最悪のシナリオ」
「原因不明です」。めまいが起きて病院に駆け込んだのに、冷たくこう言われて突き返されるケースは少なくない。治らないと諦める前に、まずはここで「めまいの最新情報」を確認してほしい。 【一覧】めまいを避けるために「気をつけること」チェックリスト
夏はめまいの季節
「半年ほど前からめまいに悩まされているんですが、脳外科を受診してCTやMRIを撮っても『異常がない』と言われ、耳鼻科へ回されました。ところが、耳鼻科でも原因がわからず『ストレスでは?』と取り合ってくれない。内科の先生に相談しても『フラフラするくらいは病気ではない』と言われて途方に暮れています」 神奈川県横浜市に住む田島祐介さん(仮名・68歳)はこう悩みを打ち明ける。めまいに悩む人は加齢とともに増加する。筋肉、骨格、内臓をはじめとする器官の機能が低下すると慢性的なめまいを招きやすくなる。 さらにこれから日本は“めまいの季節”に突入する。川越耳科学クリニック院長の坂田英明氏が解説する。 「一年のうち、梅雨の時期から夏にかけて、めまいの症状が出やすくなります。気圧の変化による影響のほか、寒暖差による自律神経のバランスが崩れることも原因です」 めまいは体の不調を示す最もわかりやすいサイン。「疲れているだけだろう」と自己判断で放置していると、思わぬ事態を招くことになるので油断は禁物だ。
このめまいだけは要注意
まずはめまいのメカニズムから見ていこう。めまいは大きく2種類にわかれる。一つは目の前がグルグルと回るような「回転性めまい」。もう一つはフワフワと雲の上を歩いているような感覚になる「浮動性めまい」だ。 前出の坂田氏によると、めまいを経験したことのある約3000万人のうち、回転性めまいは800万ー1000万人なのに対して、浮動性めまいは2000万ー2200万人と見積もられている。 回転性めまいに苦しむ人は、まだ悩みが解消されやすいかもしれない。この場合、基本的に「良性発作性頭位めまい症」「メニエール病」「前庭神経炎」のいずれかが当てはまるからだ。坂田氏が続ける。 「回転性めまいは内耳に原因がある場合がほとんどです。良性発作性頭位めまい症は1分以内にめまいが収まります。メニエール病の場合は最低でも2時間ほどグルグルと目が回り、多くの人が吐いてしまいます。前庭神経炎は、数日間めまいが続く。こうした症状の違いから、どの病気なのかを判断できますから、グルグルとしためまいを感じたら、すぐに病院で治療を受けてください」 診断しづらく悩みが深いのはフワフワ系のめまいだ。こちらは耳の問題以外に、脳、うつなどの精神疾患、自律神経、睡眠障害などさまざまな要因があり、これらが複合的に絡み合っている場合もあるため、その原因が特定されづらい。 ただ、一つだけ絶対に注意しなければならない症状がある。それが“脳梗塞の前兆”となるめまいだ。 「小脳梗塞など、大きな梗塞を起こした場合はめまいのほかに言語障害やまひ、しびれなど、はっきりとした症状が出るのでわかりやすい。問題は梗塞が小さい場合です。梗塞が少ないと、MRIを撮っても梗塞が写らない場合があるのです。そうなると、単なるめまいとして、医者に行っても帰されてしまいます。 特に注意しなくてはいけないのは、グルグル系のめまいの後にフワフワ系のめまいが残るときです。もし、めまいが起きて、2ー4週間過ぎてもフワフワが残っていたら、たとえMRIの画像に梗塞が写っていなくても、脳梗塞を起こしていた可能性があります。 もしそうであれば、再び脳梗塞が起こる危険性がありますから、必ず治療を受けてください」(坂田氏) 後編記事『 その「めまいの原因」は、あなたの「歯」にあるかもしれない』へ続く。 「週刊現代」2024年6月29日・7月6日号より
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