そらるとボカロの誕生は“運命”として呼応し合う 圧倒的スケールのカバー曲を繰り広げた『空祭り』2日目
「得意なことや苦手なことを少しずつ伸ばして一緒に成長できる一年にしましょう」
トロッコに乗り込んだそらるが表情に花を咲かせながら、「ベノム」(かいりきベア/2020年投稿)、「幽霊東京」(Ayase/2020年投稿)で会場を一周。マイクスタンドを使用した「病名は愛だった」(Neru/2020年投稿)では、本来の声を隠すボーカルエフェクトをするりと潜り抜けて、艶のある声から放たれる儚さが充満していた。青春を追想する大人の視点が、これまでの歌い手としての道のりを辿るそらると重なり、エモーショナルだった「サマータイムレコード」(じん/2015年投稿)、「玲瓏流星群」(YASUHIRO(康寛)/2017年投稿)の2曲は共通して、過去・現在・未来に繋がる輝きを持っていたと思う。 「また一年で、よりエネルギッシュに、さらに若返る気持ちで、自分の何かを伸ばして少しでも前に進めるように頑張っていきます。みんなも、それぞれの得意なことや苦手なことを少しずつ伸ばして、一緒に成長できる一年にしましょう」 2024年に自身で作詞を担当した楽曲として発表された、アンコールのオリジナル曲「ツギハギの翼」、「オーロラ」。この2曲には、これまでのボーカロイド曲への感謝の想いと、今まさに立っているこの場所への誇りが込められていた。過去の積み重ねがあってこそ築かれた“今”という瞬間。当然、この日も未来から見たメモリアルな一日になる。そらるが生まれた奇跡とボーカロイドの誕生は、“運命”として呼応し合う。後半、サプライズでスタッフから運ばれてきた空色のバースデーケーキに、迷わず一口かぶりついたそらる。軌跡をたどり、原点に立ち返ったそらるの澄み切った歌声からは、「ここからが始まりだ」と言わんばかりの熱意がほとばしっていた。
小町碧音