【45年ぶりの快挙】5球団競合の楽天ドラフト1位、宗山塁が大切にする「野球ができることは当たり前じゃない」
野球ができる幸せは当たり前じゃない
そして、迎えたドラフトイヤー。しかし、1年生からスタメンで試合に出場していた宗山の姿はベンチにあった。 宗山: 自分としては骨折していると思わなかった。タイミングもタイミングだったので、悔しかったです。 2月29日に右肩甲骨を骨折し、侍ジャパンに帯同するも試合に出場することができず…。さらに5月5日、春季リーグ戦の途中に右手中指第1関節骨折とおよそ2カ月で2度の骨折。 苦難が続く中、宗山の胸の内は… 宗山: 怪我が治って今まで通りプレーができるのか焦りはあったんですけど、特別なことができるわけではないので、一日一日、今できることに目を向けてやっていました。 大事にしていたのは4年前の夏と同じように、下を向かず今の自分自身と向き合うこと。 田中監督も怪我の期間についてこう語る。 田中監督: リーグ戦は治療に専念しても良かったが「自分は出られなくてもベンチに入りたいです」と得意の本気の目で言われたら、「分かりました。どうぞご自由に」と言うしかなかった。 さらに、宗山はこの怪我の期間で改めて感じたことがあった。 宗山: 今まで怪我で長い期間野球ができないっていうことはなかったので、野球ができる幸せや喜びは当たり前じゃないんだと感じましたし、この気持ちは忘れてはいけないものだと思うので、これからも大事にしたいなと思います。 秋季リーグ戦では打率.400、2本塁打、12打点と怪我を乗り越え完全復活した姿が! 迎えた運命の日。車から降り、会場に向かう宗山の心境は… 宗山: いよいよという感じで指名の時に自分がどうなっているか想像出来ないです。野球を始めたきっかけがプロ野球を見たことなので、1番目標にしていた舞台ですし、プロに入って活躍したいと思って練習してきたので、この瞬間になると感慨深いものがあります。一つの目標です。 そして、「どうなっているのか分からない」と語った指名の瞬間。 5球団から名前を呼ばれても、楽天が交渉権を獲得しても、表情を崩さなかった宗山。 指名直後に改めて「“当たり前じゃない”って言葉はプロに入ってからも大切にしたいか」と聞くと… 宗山: どのステージになっても変わらずに持ち続けないといけない気持ちだと思うし、自分一人の力だけでは本当に何も出来ないので、ずっとそこは肝に銘じていきたいと思う。 1年目は新人王、守備ではゴールデングラブ、打撃部門では首位打者、最多安打ってところが自分が目指すところかなと思います。 5球団から指名されたアマチュアナンバーワン内野手・宗山塁が新たな夢舞台に進みだす。 【取材メモ】 ドラフトで名前が呼ばれた瞬間に喜びを見せず、表情を崩さなかったのには理由があった。 「自分の中の感情はあったが、隣にチームメートで指名を待つ浅利太門(日本ハム3位)もいますし、高校の同級生、大阪商業大学・渡部聖弥(西武2位)なども指名を待っていたので、自分だけのドラフトではないという思いはありました」 周りのことにも気を遣う、宗山塁という人間性が分かる瞬間だった。
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