「シャープ」は世界に誇る技術をもちながら、なぜ台湾企業に売られることになったか【プロの投資家が解説】
血の通った“優良企業”だった三洋電機
澤上 三洋電機も同じだった。太陽光発電だけでなく、スーパーの売場にある冷凍のショーケースでも8割もマーケットを持っていたわけ。温情経営で、優しい、いい会社だったの。いろいろなことをやっていた。だけど、太陽電池もこれからという時に経営が苦しくなり、総額約3,000億円の優先株増資を実施。大和証券SMBC、ゴールドマン・サックス証券、三井住友銀行が引き受けた。 実は「さわかみ投信」(澤上氏が設立した独立系投資信託会社)も三洋電機を応援していた。だけど、ウチでの運用資産は2,400億円ほどしかなかった。あれほどのいい会社だし、「長期投資家が応援すればいいだろう。ウチなんかが応援しなきゃ」と思っていたが、力不足もあって、できなかった。ウチに運用資産が6,000億円、いや、1兆円あれば、いろいろお手伝いできた。
三洋電機はパナソニックの子会社になり、太陽電池事業が低迷
三洋電機の従業員は頑張っていた。面白い会社なんだよ。洗濯機は強いしね。その後、三洋電機を吸収したパナソニックはやり方が下手だから、太陽電池事業はジリ貧になってしまっている。俺はもともと松下にいたから、よけいに頭に来ているよ。 渡部 そういう意味では、エルピーダメモリだとかも、すごくもったいないと思っています。そういうもったいない会社が日本にはいっぱいありますね。 澤上 篤人 公益財団法人 お金をまわそう基金 代表理事 渡部 清二 複眼経済塾 代表取締役塾長
澤上 篤人,渡部 清二