「こんな曲を人間が書けるとは…」ブラームスが称賛した“ドヴォルザークの協奏曲”【クラシック今日は何の日?】
クラシックソムリエが語る「名曲物語365」
難しいイメージのあるクラシック音楽も、作品に秘められた思いやエピソードを知ればぐっと身近な存在に。人生を豊かに彩る音楽の世界を、クラシックソムリエの田中 泰さんが案内します。
ドヴォルザーク『チェロ協奏曲』 アメリカ滞在中に書かれた望郷のメロディ
今日5月1日は、チェコ国民楽派の作曲家ドヴォルザーク(1841~1904)の命日です。 数々の名作を生み出し、すでに世界的な名声を得ていたドヴォルザークのもとに届いたのは、「ニューヨーク・ナショナル音楽院」院長就任の要請でした。これを受けたドヴォルザークは、“新大陸”アメリカに家族を伴って移住。滞在中の1892年~94年にかけての約2年半の間に手がけた、『交響曲第9番“新世界より”』、『弦楽四重奏曲“アメリカ”』そして『チェロ協奏曲』の3曲は、ドヴォルザークの代表作となったのです。 中でも祖国ボヘミアの音楽と黒人霊歌やアメリカインディアンの音楽が見事に融合された『チェロ協奏曲』については、「こんな曲を人間が書けるとは思わなかった……」とブラームスがため息交じりに称賛したことも語り草。まさにアメリカ滞在の最後の日々を飾る名作中の名作です。 ドヴォルザークが残した協奏曲は、他にヴァイオリン協奏曲とピアノ協奏曲があるにもかかわらず、チェロ協奏曲のみが「ドヴォコン(ドヴォルザークの協奏曲)」と呼ばれることにも納得です。
田中 泰/Yasushi Tanaka
一般財団法人日本クラシックソムリエ協会代表理事。ラジオや飛行機の機内チャンネルのほか、さまざまなメディアでの執筆や講演を通してクラシック音楽の魅力を発信している。
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