センバツ高校野球でホームラン数が激減…「飛ばない」バットにどう向き合う?強豪校に聞いた戦術に与える影響は
「12本から3本」。これは先日、群馬・健大高崎の初優勝で幕を閉じたセンバツ高校野球での「大会のホームラン数」です。 12が去年、3が今年の大会での数字です。去年は記念大会で試合数が多かったことを差し引いても、4分の1に減りました。
過去10大会を見てみても…3本という数字は、高校野球に金属バットが導入された1975年の47回大会以降、最も少ない本数となります。 この要因として挙げられているのが、今大会から正式に導入された新基準バットです。 様々なメディアでも取り上げられ「低反発の飛ばないバット」とも呼ばれています。
新基準バットが導入された目的は、選手の技術の向上により打球のスピードが上がり、最近の甲子園でピッチャーに打球が直撃して、大怪我を負うケースがありました。 そこで投手の安全対策に重点を置き、反発の少ないバットがこの春から正式に導入されることになったのです。
田尻温人選手: 「(打った時の)感覚自体はあまり変わらないんですけど、打球の飛び方とかっていうのは全然違う。前までだったら、外野まで届いていたような打球が、外野に届いていなかったりとか、越えそうな打球も外野に捕られるような打球が多くなったりとか」
森悠興選手: 「前のバットは外野とかどんどん超えていくイメージだったんですけど、ライナーとか、強い打球だったらいけるなってイメージがあって。フライはあんまり伸びないかなって印象があります」
“新基準バット”これまでと何が違う?
新基準バットの大きな違いは2つ。 ①ひとつめはバットの直径です。 これまでのバットは最大直径が67ミリでしたが、新基準バットは最大64ミリこれまでのものと比べ、3ミリ細くなっています。
②そしてもう一つは、バットの内側。厚みの変化です。中の金属の厚みが、これまでの3ミリから4ミリと、肉厚になっています。 それによって「バットの反発係数」が抑えられるのです。 日本高野連の実験では、このバットを使うことによって、打球の初速は3.6%減少。飛距離は5mほど落ちるという結果が出ています。 高校野球で金属バットが使用できるようになったのは1974年から。木製バット最後の年となった1973年のセンバツでは、今治西と江川擁する作新学院が準々決勝で対戦し、今治西が8者連続を含む20三振を喫し敗退しました。(今西0-3作新) 金属バット解禁2年目の1975年の夏の甲子園は金属バットを上手く使いこなした新居浜商業が旋風を巻き起こし、甲子園準優勝の快挙を成し遂げました。 木製と比べてバットの芯が広く、反発力の強い金属バットが導入されて50年。 トレーニング方法の進化や、選手の技術向上にともなって、金属バットにも大きな変化が訪れたといえます。