暑さが厳しくなる季節、汗をたくさんかくようになりますが、中には、日常生活に支障を来すほどの汗に困っている人たちもいます。そこで「健康のタネ」のコーナーでは今回、「原発性局所多汗症」という病気について専門医に聞きました。 　 倉地恵利アナウンサー： 「皆さんの中に、脇の汗が気になって好きな服が着られない、手の汗で書類が濡れて破れてしまうという方はいませんか？それは原発性局所多汗症という病気かもしれません」 　 この「原発性局所多汗症」について石黒皮膚科クリニックの石黒和守院長に教えてもらいました。 　 石黒皮膚科クリニック・石黒和守院長： 「原因が不明にも関わらず多汗症になるのが原発性局多汗症。体の部位としては脇や手のひら、足の裏、顔、頭が挙げられ、約10人に1人が悩んでいる」 　 「原発性局所多汗症」には以下のような診断基準があります。 ▼最初に症状が出たのが25歳以下 ▼左右対称に発汗がみられる ▼睡眠中は発汗が止まる　 ▼1週間に1回以上多汗のエピソードがある ▼家族歴がある ▼日常生活に支障をきたす この6項目のうち2つ以上当てはまる人は、多汗症の可能性があります。 汗には、体温調節など体にとって重要な役割がありますが、多汗症の場合、日常生活に支障をきたすことがあります。石黒院長によると「汗じみで服が汚れて好きな服が着られない、手汗のために受験勉強ができない、受験の会場でも困る」などの事例があるといいます。 　 他にも、手のひらの多汗症では、握手をすると相手に不快感を与えるのではと心配になったり、汗によってパソコンや携帯電話などの電子機器がいわゆる“水没”状態となり壊れてしまう、など、生活にさまざまな影響を及ぼします。 　 しかし、多汗症という病気の認知度は低いのが現状です。 　 石黒皮膚科クリニック・石黒和守院長： 「告白しても、周りの人に『そんなの病気じゃない』と言われて、ショックを受け、なおさら病院に来れなくなるなど、まだまだ世間的に認知されていない問題があり『サイレントハンディキャップ』と言われている」 　　 「サイレントハンディキャップ」とは目に見えない障害のことで、多汗症もそれにあたるといいますが、ここ数年で治療の選択肢が増えてきています。 　 脇と手の汗には、保険適用の塗り薬があり、患部に塗るだけで過剰な汗を抑える作用があります。多汗症の治療の目標は、発汗をゼロにすることではなく、汗の困りごとを減らし日常生活に支障を来さないようにすることです。 　 石黒皮膚科クリニック・石黒和守院長： 「病気を前向きにとらえ、その病気とうまく付き合うこと。汗をかくことを怖がらず、汗と付き合っていくとこが大切」 　 これから暑さがますます厳しくなりますが、多汗の症状を、体質だから仕方ないと諦めず、一度適切な診断、治療を受けてみる必要がありそうです。