伊藤忠商事、福島県内で低炭素水素の供給網構築へ 県と連携、中通りで体制づくり
伊藤忠商事(本社・東京都港区)は福島県と連携し、県内での低炭素水素の供給網構築に乗り出す。同社などが5月に本宮市に整備した定置式水素ステーションを核とし、製造拠点新設の検討も含め中通りで供給、輸送の体制づくりを進める。今後、県と共に県内での水素の需要調査を進め、場所や規模など具体的な事業内容を固める方針だ。 低炭素水素は、製造工程で再生可能エネルギーを使うなどして二酸化炭素(CO2)の排出を抑えた水素。同社は国内外で再生可能エネルギーや水素の事業を手掛けている。中通りに製造拠点を整備できれば長距離輸送コスト低減などの課題解決につながるという。 県内には現在、定置式の水素ステーションが5カ所(計6基)設置されている他、燃料電池自動車が6月末時点で465台、導入されている。県の再生可能エネルギー推進ビジョンには2030(令和12)年度までに20基の水素ステーションの整備と燃料電池自動車の早期の普及拡大が盛り込まれており、県は「水素社会の実現に向けて需要の調査や開拓などの取り組みで協力していきたい」としている。
26日、県庁で同社と県の包括連携協定の締結式が行われ、水素社会の実現や災害対応力の強化、観光・県産品の情報発信など6項目で連携することを確認した。同社の石井敬太社長最高執行責任者(COO)と内堀雅雄知事が協定書を交わした。 石井社長COOは「総合商社の強みを幅広い分野で役立てたい」と述べ、内堀知事は「専門的な知見とネットワークを復興と地域創生に生かす」と語った。