英財務相、金融サービス成長に向け規制体系の抜本的見直し約束
Sinead Cruise David Milliken [ロンドン 14日 ロイター] - リーブス英財務相は14日、金融街シティーの中心にあるロンドン市長公邸(マンションハウス)における演説で、金融サービス分野の規制体系を抜本的に見直すと約束した。これまでの規制体系は、世界金融危機以降のシティーの発展に足かせとなり、英経済成長を妨げてきたとしている。 リーブス氏は、世界的な金融センターという英国の立場を当然視せず、そうした地位を積極的に確保していくための改革に乗り出すと表明した。 その上で「世界金融危機後に歴代政権が当時の国際的な経済情勢に即した規制の見直しを行ってきたのは正しかったが、大事なのは過去の教訓を学ぶことだ。これらの見直しは金融システムからリスクテークの動きを一掃する狙いだったとはいえ、幾つかの領域で行き過ぎて予期せぬ事態を招き、今われわれの対応が必要になっている」と述べた。 リーブス氏は、英国の金融サービスの潜在的な成長力を最大限発揮させるために、資本市場とフィンテック、持続可能性ファイナンス、資産管理・ホールセールサービス、保険・再保険という5つの分野で具体的な成長戦略を提示していくと明らかにした。 来年春にこうした提案を公表し、労働党政権が掲げる10カ年の産業振興戦略の中核に位置付けるという。 「英国はこれまでリスク規制は行ってきたが成長のための規制は行ってこなかった」と述べ、イングランド銀行(英中央銀行)と英金融行動監視機構に対し、金融の安定だけでなく政府の成長目標支援にも一層注力するよう指示する書簡を送ったと明らかにした。 イングランド銀行のベイリー総裁はリーブス氏の直後に演説し、同氏の規制当局への批判には言及せず、政府の成長重視を歓迎するとし、欧州連合(EU)との貿易関係の再構築を推奨した。 リーブス氏の提案を金融業界関係者は評価した。大手JPモルガン・アセット・マネジメントの欧州・中東・アフリカ地域最高経営責任者(CEO)で英投資協会のパトリック・トムソン会長は「英国の規制の枠組みが効果的で適切に調整されていることは極めて重要だ。したがって、リスクに対してよりバランスの取れたアプローチが必要であるというリーブス氏の認識を歓迎する」と述べた。