ときわ動物園〝レジェンド飼育員〟が歴史や秘話 白須さん勤続60年トークイベント【宇部】
カッタ君やハクチョウへの思い語る
宇部市常盤動物園協会の動植物管理監で、モモイロペリカンのカッタ君を育てるなど同園の〝レジェンド飼育員〟として知られる白須道徳さん(77)の勤続60年を記念したトークイベントが23日、ココランドで開かれた。市出身のタレント西村知美さん、同園名誉園長の宮下実さんと共に同園の歴史を振り返りながら、今だからこそ話せるエピソードを披露し、集まった150人を楽しませた。 同園の飼育員らスタッフ有志でつくる実行委員会が企画。白須さんは、定時制高校に通いながら同園の前身で松山町1丁目にあった宮大路動物園で働き始めた当時の話から、カッタ君のエピソード、鳥インフルエンザによるハクチョウの殺処分まで赤裸々に語った。 働き始めてすぐに担当した肺結核のサル3匹の世話を通じて、動物園で働いていく決心を固めたという。2011年2月のハクチョウの殺処分は一番つらかった出来事に挙げた。 「2日間で常盤湖にいた323羽のハクチョウを捕獲し、殺処分が終わった翌日に雪が降ったことを忘れられない。ハクチョウの涙にしか思えなかった」と振り返り、その時の思いをつないでいきたいと述べた。 西村さんは自身が主題歌を歌い、声優を務めたアニメ「カッタ君物語」について語った。白須さんは自分の考えた原案とは微妙にストーリーが変わっていた裏話を披露し、集まった人を驚かせた。 最後にあいさつに立った白須さんは「いろいろな人に支えられて60年続けてこられた。きょうはうれしくて仕方がない。若い飼育員がこの先、動物園をもっと良くしてくれると思うので、応援してもらえれば」と笑顔で述べた。 西村さんは「ときわ動物園は私にとって思い出の場所であり、地元の誇り。いつも穏やかな笑顔で迎えてくれる白須さんには、まだまだ現役で頑張ってほしい」とエールを送った。