182cmの長~いリーチ、愛称は「教授」、ルーキーで開幕投手に抜擢も…プロ3年目で覚醒の予感 日ハム“次世代エース”北山亘基25歳とは何者か?
恩師が「キャッチボールに驚いた」高校時代
「最初の出会いは、北山が高校(京都成章高)2年の秋ですね。評判を聞いて、キャッチボールだけでもってお願いして、そのキャッチボールに驚きました」 塁間ほどの距離で、相手のグラブに突き刺さるような痛烈なボールを投げていた北山投手。相手との距離を60mから70mに広げたロングのキャッチボールになっても、その勢いがぜんぜん変わらない。 「真っすぐにぐんぐん伸びてきて、なかなか落ちて来ないボールですね。素晴らしいバックスピンでした。こういうピッチャーを育ててみたい。いや、こういうピッチャーこそ、自分で育ててみたいと思いました」 高校3年夏の甲子園大会に出場した京都成章高・北山投手。神村学園高(鹿児島)に惜しくもサヨナラ負けを喫したものの、8.1イニング投げて、8回まで毎回の11奪三振。速球で勝負できる本格派としての片鱗を見せた。 勝村監督の京都産業大に進学すると、1年秋のリーグ戦から持ち前の快速球を武器にストッパーとして奮投。チームのリーグ戦優勝の推進力になると、2年春からは先発ローテーションの一角としてチームの勝ち星の半分の3勝をあげて、平古場賞(新人王)を獲得。 4年生になると、エース兼主将の重責を担って、文字通りチームの大黒柱に抜擢されることになる。 「当たり前ですけど授業もしっかり出て、成績も優秀でそれでもえらそうにしない。二十歳(はたち)前後の若者ですから、普通は気持ちの波も大きかったりするんですけど、北山の場合はいつもおんなじで、いつもフラット。リーダーの資質を持ってましたね」
グラブが膝に付きそうなほどの「長いリーチ」
ちょうどその頃だ。リーグ戦での北山投手の熱投を何度か見ている。スラリとした長身で、グラブが膝に付きそうなほどの長いリーチ。誰が見たって、「ピッチャー」のシルエット。 端正な投球フォームなのに、腕の振りだけは豪快。そうでなくても長い右腕が、ビューンとばかりに振り下ろされるから遠心力MAXで、たまに腕力、握力のほうが負けて抜けてしまう速球もあったが、リリースのタイミングがピタッと合って指先ががっちりかかった時の剛速球は、芯のあたりで捉えているのにバットのほうが粉砕されてしまった場面を、私は何度か目撃している。 「そうなんです! しかも抜けたボールっていうのも、北山の場合は抜けてないんです。右打者の頭や顔のあたりにいくストレートなんで、『抜けたボール』としか表現の仕方がないんですけど、その抜けたボールが、北山のはちゃんと指にかかった強いボールなんです。 死球のリスクもはらんだボールではあるんですけど、あのボールで胸元突かれたら、まず手が出ない。打っても、ジャストミートできるボールやない。彼のピッチングの『生命線』やと思いましたね」 入学時は、アベレージ140キロ台前半の速球は、4年間でじわりじわりとパワーアップ。最後の秋のシーズンには、「153キロ」にまで達して、待望のドラフトを迎えることになったのだった。 <次回へつづく>
(「マスクの窓から野球を見れば」安倍昌彦 = 文)
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