胡友平さんの義挙が示す中国の正義感と中日の絆
【東方新報】中国蘇州市(Suzhou)高新区塔園路新地中心バス停で6月24日、日本人の母子が襲撃される事件が起きた。この事件に対し、中日両国の人びとは激しい怒りを感じ、被害者への心配を表明した。そして、6月28日の朝、悲しいニュースが伝えられた。襲撃犯を止めようとした胡友平(Hu Youbing)さんが、救急治療の甲斐なく亡くなったのだ。 【写真】蘇州市民が胡友平さんに捧げた花 ある中国のネットユーザーは「彼女は人を救うために勇敢に命を捧げた。救ったのが中国人であれ日本人であれ、それは変わらない」とコメントした。胡友平さんの勇気ある行動は、多くの人びとに感動を与え、社会的にも高く評価された。蘇州市は彼女に「見義勇為(正義のため勇敢に行動する)模範」の称号を追贈し、在中国日本国大使館も彼女に敬意を表して半旗を掲げた。 国営新華社通信の報道によると、事件に巻き込まれた日本人の女性の証言では、胡友平さんが犯人を止めようとして刺され、倒れたため、その隙に女性の息子は逃げることができたとのことだ。また、現場の目撃者によれば、胡友平さんは犯人を引き止めた後、背後から取り押さえようとしたという。犯人は逆手で彼女を刺し、彼女が倒れてもなお追撃しようとしたが、通行人や運転手、巡査によって現場で取り押さえられた。目撃者は「もしあの時、犯人が止められていなかったら、もっと多くの人が傷ついていただろう」と話している。 中国のネットユーザーは「彼女は子供を守った。中国人の尊厳も守った」「日本が彼女に半旗を掲げることは最大の敬意を表している。安らかに眠ってください」「歴史を忘れないことは、憎しみを続けることとは違う。成熟し、自信を持って前に進むためには、憎しみを持たないことが大切だ。命と安全を守ることにおいては、日本と中国の多くの普通の人びとが同じ価値観を持っていることを日本の人びとに示している」といったコメントをしている。 6月28日、蘇州市民は胡さんに自発的に花を捧げ始めた。事件を起きた高新区の塔園路付近の花屋の店主は中国新聞社(CNS)に対し、「今朝早くから多くの人が菊の花を注文し、塔園路の新地中心バス停に届けるよう頼まれました」と語った。記者が現場を訪れると、市民はスタッフの指示に従い、花を現場近くの駐車場に停められた商用車に積んだ。その車のトランクには、すでにたくさんの菊の花が積まれていた。現場のスタッフは、「市民が持ってきた花は一括して集め、葬儀場に送る予定です」と話していた。 現在、中国は世界で最も殺人事件の発生率が低く、刑事犯罪率も低く、銃殺事件の発生が少ない国の一つだ。中国公安部のデータによれば、2023年に中国で発生した殺人事件は、10万人あたり0.46件だった。 しかし、どんなに治安の良い場所でも、犯罪を完全になくすことはできない。外部が犯罪行為を非難するだけでなく、中国の人びとが危機の際に示す正義感も評価すべきだ。胡友平さんのような普通の人びとの勇敢な行動は、中国文化の正義感を示しており、中日の民間交流の中での真実の物語でもある。(c)東方新報/AFPBB News ※「東方新報」は、1995年に日本で創刊された中国語の新聞です。