東宝特撮映画のヒロイン・水野久美 妖艶なほほえみは子供にトラウマも残す
「ゴジラ」シリーズがアマプラで見放題
日本初となる「アカデミー賞視覚効果賞」に輝いた山崎貴監督の『ゴジラ-1.0』(2023年)をはじめ、「ゴジラ」シリーズ全30作が2024年5月3日からAmazon Prime ビデオにて見放題となっています。 【画像】え…! こちらが水野久美さんのゾクッとするほど美しい姿です(4枚) シリーズ第1作となる本多猪四郎監督の『ゴジラ』(1954年)に加え、庵野秀明監督の大ヒット作『シン・ゴジラ』(2016年)のモノクロ版『シン・ゴジラ:オルソ』(2023年)や『ゴジラ-1.0』のモノクロ版『ゴジラ-1.0/C』(2024年)も含めて視聴可能です。 世代ごとに、それぞれ記憶に残る「ゴジラ」作品があるかと思いますが、世代をこえて活躍を続けるスター女優がいます。シリーズ第6作となる『怪獣大戦争』(1965年)で「X星人」を演じた水野久美さんです。日本人離れした美貌と演技力で特撮ファンを魅了した、水野さんが出演した東宝特撮映画を振り返ります。
愛を知った、美しきX星人の悲劇『怪獣大戦争』
東宝のスター女優たちが清純なお嬢さん役を演じることが多かったのに対し、水野さんはクセのある役を得意としました。目鼻立ちのはっきりした水野さんだけに、『怪獣大戦争』でのX星人役はぴったりでした。超モダンなX星人のコスチュームをスタイルよく着こなしています。 伊福部昭氏が作曲した「怪獣大戦争マーチ」でもおなじみ、本多猪四郎監督の『怪獣大戦争』は、高度な文明を持つX星人が地球人類に巧みな罠を仕掛けて、侵略をもくろむ物語です。 X星人のひとりである「波川(演:水野久美)」は地球連合宇宙局の「グレン(演:ニック・アダムス)」に近づき、地球側の情報を集めようとします。しかし、グレンと愛し合うようになった波川は、葛藤の末にX星を裏切ることに。愛を知った異星人の切なさが印象に残る作品です。 水野さんが科学者役で出演した『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』(1966年)と『怪獣大戦争』が米国では同時併映され、米国人たちには「特撮映画のヒロイン=水野久美」というイメージが強く残ったようです。『怪獣大戦争』にはゴジラ、ラドンに、「モンスターゼロ」ことキングギドラが登場しますが、水野さんは怪獣たちに匹敵するインパクトを放っていたのです。 水野さんへのインタビューが掲載された『東宝特撮女優大全集』(洋泉社)を読むと、『怪獣大戦争』と『サンダ対ガイラ』で共演したニック・アダムスは妻帯者だったにもかかわらず、水野さんにプロポーズしていたことが語られています。明るい性格の水野さんは、撮影現場を離れても大変魅力的だったようです。