【漫画】人の役に立ちたい生徒会長が、生徒たちの悩みを募集 クセが強すぎる展開に「お腹よじれる」【作者インタビュー】
ーー書籍が発売されたいまの心境や、作品に込めた思いなどを教えて下さい。 文化祭でみんなの前で一世一代の告白をする美男美女より、文化祭に打ち込めないから非常階段でモンハンしようぜ、帰っちゃおうぜ、帰ってもやることないな……みたいな人に好感を持って生きてきました。青春を謳歌している人たちも青春なんですが、青春を謳歌しきれない人もまた青春なんじゃないかと。その日陰者にスポットライトを当てたくて描きました。あとは「当人は本気で悩んでいるけど、側から見るとしょうもない悩みに見える」その落差が好きです。それも描きたかったです。 書籍化した心境としては……そんなに変わらないなぁといった感じです。作品が手を離れた感覚があるのでどこか他人ごとなのかもしれません。でもほぼ毎日書店に見に行ってしまいます。なのでそこまで他人ごとじゃないのかもしれません。 ーーマンガについてお聞きします。今作は学校を舞台にお悩みを解決していくストーリーです。物語の設定を選んだ理由を教えて下さい。 まずオムニバス作品にしよう、と担当さんから提案がありました。僕が初連載で長編マンガを描いたことがなかったので、オムニバスならいけるんじゃないかと。オムニバスでどこを舞台にしようか……となったときに、担当さんと互いの学校生活の話で盛り上がりまして。学校ならネタがポンポン出てくるなぁと思って、学校に決まりました。 ちなみに僕の高校は県内で一番荒れた学校と最寄駅が一緒だったので、最寄駅には駅の屋根に登ったり、券売機を蹴ったりしている人がいました。なので電車通学は意地でもしたくありませんでした。 ーー物語の中心にいる小鳥遊会長と安達副会長がとても印象に残りました。キャラクター制作でこだわった点などはありますか? 主人公の小鳥遊でこだわった点は、絶妙なダサさと清潔感の両立です。真面目でオシャレとかも考えてないので、眉毛とかボサボサ。前髪は額の上側で爽やかに。目は一重ですがまつ毛は長いぱっちりタイプ。服装は夏でも冬でもひとりだけ徹底して学ランです。主人公として特別だぞって画面上で見せると同時に、頑固さと学生はかくあるべき、と小鳥遊は考えていることを表現できればとデザインしました。 ヒロインで副会長の安達でこだわった点は目の死に具合とかわいさ、綺麗さの両立です。感情をオーバーにしないので、トゲトゲの吹き出しもとあるシーンを除いて使いませんでした。前髪は意外とボサボサです。多分あか抜けてないんだろうな、クラスの女子たちがしている化粧とかオシャレの話題にはまだ入れないんだろうなと思っています。 ーー思わず笑ってしまうシュールなギャグでお話が展開していきます。野火先生は、どのようにギャグのアイデアを生んでいるのでしょうか? また、そのアイデアを描写する際に工夫していることがあれば教えていただきたいです。 例えば「野球部が野球をせずに別のスポーツをしている」という大きなウソがあったとして、「なんでそのスポーツをするに至ったんだろう?」と考えます。 一度も試合に勝ったことなくて、一度くらい勝ちたいから野球を捨てたのかなとか、自分たちで架空のスポーツ作ったら有利になって勝てるな、じゃあそもそもその野球部は身体能力には劣っているけど知識はあるんじゃないかなどなど……言い訳がましくそのウソがあったら起こりそうな「本当」で補強していって作ります。僕は言い訳が好きなんだと思います。
マグミクス編集部