ChatGPTなど対話型AIの必須スキル「プロンプトエンジニアリング」で陥りがちな罠
ChatGPTを筆頭とするAIが大きな話題を呼んでいますが、実際のところそれらが浸透することによって、私たちの仕事はどのように変わっていくのでしょうか? このことについて『AIと共に働く - ChatGPT、生成AIは私たちの仕事をどう変えるか』(小林雅一 著、ワニブックスPLUS新書)の著者は次のように述べています。 「言葉で操作できる高度なAI」、つまり人間の言うことを聞く「有能なアシスタント(としての人工知能)」を使いこなせば、日頃の定型業務を中心に仕事の効率性が飛躍的に高まると期待されています。 他方で、これら新顔のAIアシスタントは(あくまで比喩的な表現ですが)「性格上の問題」も抱えています。それは自分の実力ではできないこと、あるいは答えられないことを正直に「できません」「わかりません」と認めないことです。(「はじめに」より) つまりは自分の限界を受け入れることなく、“口から出まかせの嘘(捏造情報)”や誤った情報を回答してその場をしのごうとする傾向があるということ。しかも、そういった誤情報があたかも真実であるかのように語られるため、ユーザーがうっかり騙されてしまうことも珍しくないわけです。 だからこそ、このツールのことを盲信するのではなく、意識的に活用する必要が私たちにはあるということ。著者も本書において、その点を強調しているのです。 これらプラスとマイナスの可能性を併せ持つ強力なAIに、私達は今後どう向き合い、どのように仕事に活用していけばいいのでしょうか。本書では具体的な事例なども随所に交えて、貴方と一緒に考えていきたいと思います。(「はじめに」より) でも実際のところ、これからの未来にはなにがどのように変わっていくのでしょうか? 第4章「未来予測──私たちの生きる世界は今どこに向かっているのか」のなかから、ヒントを見つけ出してみたいと思います。
人とパソコンが対話しながら仕事をする
オフィスワーカーにとってもっとも身近なツールであるパソコンが、人間のいうとおりに働くロボットのようになるかもしれないーー。 著者によると、米マイクロソフトが2023年6月にプレビュー(テスト公開)を開始した「ウィンドウズ・コパイロット」は、そんな時代の到来を予感させる対話型AIなのだそう。 「コパイロット(Copilot)」は副操縦士を意味し、人間が言葉で指示をすることでパソコンを操作できるようにする仕組みです。普段はウィンドウズのデスクトップ画面の最下部にあるタスクバーにアイコンとして常駐しています。 必要に応じて、このアイコンをクリックするとデスクトップ画面の右側に縦長のサイドバーが表示されます。これが私達ユーザーとコパイロット(AI)が対話するためのチャット画面になります。(152ページより) このチャット画面を通し、ChatGPTのようにAIにさまざまな質問をすることができるということ。それらにAIが答えることにより、ユーザーが満足する答えを得るまでチャットが続いていくわけです。 それに加え、各種アプリの起動や操作、パソコンの設定変更、文書ファイルの処理といった作業も「対話形式(ことばによる命令)でAIに指示することができるといいます。 たとえば、「ちょっと目が疲れたので、パソコンの操作環境を改善したいんだけど」とリクエストすると、AIが目に優しい画面設定を提案して自動的に変更します。 あるいは会議の議事録などの資料をPDFファイルにしてチャット画面にドラッグ・アンド・ドロップし、その資料の要約を指示することもできます。(153ページより) これはほんの一例ですが、さまざまな側面からビジネスパーソンをサポートしてくれるわけです。現時点ではあくまでサイドバーを利用したチャット(テキスト形式の会話機能)に限定されているものの、いずれは音声認識機能と連携することも予想できそう。 つまりは私たちが発することばによってパソコンに指示を出し、パソコン側も合成音声によることばで返事をするようになることも考えられるということ。したがって近い将来に私たちは、パソコンというAIロボットと音声で会話しながら仕事をするようになる可能性が高いわけです。(152ページより)