生粋の日本企業なのになぜ「Roland」なの? 電子楽器メーカー「ローランド」に聞いた
【会社のギモン】ローランド ヤオヤの愛称で親しまれているリズムマシン(TR-808)は、YMOの「千のナイフ」やマイケル・ジャクソンの「BeatIt」などの数多くの名曲を生み出してきた。あのピコ太郎の「PPAP」もその中のひとつだ。 YMO高橋幸宏さんが70歳で死去…「シティーポップの元祖」が残した世界的功績 1980年にこの名機を世に送り出したのが、世界的な電子楽器メーカーのローランド。社名からして海外のメーカーと思いきや、実は72年に大阪で創業し、2005年からは静岡県浜松市に本社を構える生粋の国内メーカーだ。 大阪生まれということもあって、社内では今も関西弁が飛び交うとか。社名のRolandは創業当時、Rで始まる電子楽器メーカーがなかったからだ。 「当時、国内での需要が小さく、海外市場をターゲットにと、響きがよく覚えやすい、2音節で濁音を含む名称の候補を挙げていく中にRolandがあったのです」(同社広報担当者) ■約3分の2が海外社員のグローバル企業 今でも売り上げの9割は海外市場。世界に22の拠点を置き、社員約3000人のうち約2000人が海外社員で占められている。まさにグローバル企業なのだが、その原点ともいえるのはパイオニア精神だ。 「ローランド初の電子ピアノ『EP-10』を発売したのは創業の翌年、1973年のこと。その翌年には鍵盤タッチで音の強弱が付けられる世界初のタッチ・センス付き電子ピアノ『EP-30』を発表しています。表現力が高まったことからライブで使用するプロのミュージシャンも現れました」(前出の担当者) ローランドといえばシンセサイザーで有名だが、83年発売の「JX-3Pシンセサイザー」は、世界共通規格「MIDI(ミディ)」の誕生に大きく貢献。創業者で技術者の梯郁太郎氏(故人)はシーケンシャル・サーキットのデイブ・スミス社長と共に「テクニカル・グラミー・アワード」を受賞している。