氏原大作「花の木鉄道」の舞台地巡る地図が完成【山口】
山口市阿東篠目出身の作家、氏原大作(1905~56年)の小説「花の木鉄道」の舞台地を巡る地図が完成した。同作はJR山口線の篠目駅までの延伸工事に着想を得ており、地図は氏原に関する場所や同作に登場する阿東の風景を紹介。手掛けた氏原大作平成顕彰会の伊藤繁樹会長(72)は「古里を代表する作家を知ってもらうことと山口線の利用促進に役立ててほしい」と期待する。 氏原は、戦争体験を反映した児童文学を描き、代表作の一つ「幼き者の旗」(38年)は映画化された。小学生時代に延伸工事があり、「花の木鉄道」はその経験を子どものまなざしで捉えている。篠目は脚色が加えられて「花の木村」として登場する。 同作を読むと実際の風景がすぐ思い浮かぶという伊藤会長が、2年前から地図を作って忘れられつつある氏原の紹介と山口線の活性化につなげようと構想。昨年、全線開通100周年を迎えた山口線の記念事業の一環として、地元自治会やふるさとしのめ会(大岡孝知会長)の協力を受けて完成させた。 出来上がった「しのめ駅周辺マップ」は折り畳み式で、広げるとB4サイズになる。同作の舞台と現在の篠目駅周辺を地図上で並べて紹介。現在は氏原大作交流館となっている生家や篠目駅はもちろん、作品のモデルとなった尋常小学校、登場人物の一人が鉄道敷設のための提供を拒否した田などを掲載した。 表紙は鉄道写真のファン〝撮り鉄〟が撮ったSLやまぐち号が疾走する写真を使用。篠目駅の時刻表も掲載し、周遊ルートも設定した。 来年は氏原の生誕120周年を迎えることもありさらに企画を練っている。伊藤会長は「子どもたちに友情の大切さや親を思う気持ちを純粋に表現した氏原作品に触れてほしい。山口線を利用して篠目駅を訪れ、地図を使って散策してもらえれば」と話した。 配布場所は篠目駅、阿東地域交流センター篠生分館など。