「ヨッシャ…ホラ、きたデ!!」たった58g、羽根のような軽さを持つ『超セコ釣りロッド』がヤバい。
ブランク素材が軽いほど抵抗感を感じることが可能
まさに、最後の最後で『優勝』で終了というドラマチックな展開となった旧吉野川釣行。低気圧による風と雨の影響により、冴掛FTTを投入するような状況ではなかったかもしれない。ただ、その繊細なアプローチゆえの魚だということも忘れてはいけない。 村上「釣り始めは0.3gのジグヘッドから。探りを入れてから、食わせの根コリグやツネキチリグに変えていく作戦。とにかく強風で中層のトレースは無理やったから、ボトムに無理矢理でも当てて抵抗感を感じながらの釣りやね」 村上「竿を立てて釣りして、その引きを手元で味わう。そうして初めて気持ちいいんですワ」 ボトムに着底させ、シェイクで上げてまた落とす。ブレイク沿いを回遊するバスにルアーを見つけてもらう釣り方で仕留めた。 村上「キャスティングディスタンスは25m前後。ちょい沖までで遊ぶ竿。この竿はそれでエエねん。遠投したければ他の竿を使ったらいい」 扱うルアーやリグも、基本はSクラスのフィネスだ。 同じ0.3gのツネキチリグに変えて数投、そしてバイト。 村上「ボトムから一旦リフトしてシェイクしながら落とす、の繰り返しやったけど、落ちる時にパクって食うたワ」 0.3gに極小マスバリ、そして細身のストレートワームという、村上さんが一番得意とするツネキチリグでの一発。PEラインも0.4号という細さを使用。風の影響を極力受けない超フィネスシステムでのアプローチだった。 その軽さもあって、力を入れずとも竿をさばけるため、アクションを起こすときの無駄がなくなる。ブラインド…妄想で釣りをする人向けでもあると村上さんは言う。 村上「超セコ釣りロッドですワ。実はね、この竿を作ったひとつの理由として、また昔のツネキチリグがしたくなるかな…っていう想いがあった。案の定、したくなったねぇ(笑)。往年の十八番の釣りで、最高の曲がりを魅せることができて良かったワ」 そこそこの飛距離でバスとの戯れを存分に味わえる竿…かつての小バス釣りを現代の技術でより繊細に表現したモデルが、この冴掛FTTなのだ。
村上晴彦(むらかみ・はるひこ)
1990年代に常吉リグ、根こリグなど、現代主流となる先駆けの数々を世に解き放った天才釣り師。自らの感性をフィードバックして開発したロッドシリーズ、ハートランドは四半世紀を超えてもなお厚い支持を受け続けている。