広島マリーナホップの遊園地、遊具はまだまだ「働き盛り」 閉園後はどこへ?
広島市西区の商業施設「広島マリーナホップ」の12月1日の営業終了まで残り1カ月。気になるのが、遊園地「マリーナサーカス」の行く末だ。敷地が更地になるため、観覧車やローラーコースターといった大型遊具は全て撤去される。いったいどうなってしまうのだろう。 【写真】2005年3月、プレオープンしたマリホ。当時から観覧車がランドマークとなっていた 「あれ宮島?」「こんなに高くなるんじゃね」。西区の美容師白木成美さん(38)は10月の週末、長女(4)と初めて観覧車に乗った。「子ども向けかと思ったけど、広島の景色を360度楽しめる。今のうちに乗れてよかった」と目を細めた。
■ほとんどの遊具、耐用年数は50~60年
2005年3月のマリホ開業と同時に開園したマリーナサーカス。観覧車やローラーコースターなど、12基はいずれも、遊具の企画開発などを手掛けるシーキュー・アメニック(高松市)が約10億円を投じて設営し、運営してきた。入場料を徴収せず、買い物の合間に子どもを遊ばせるスポットとしても人気を集めた。 しかしマリホが立地する県有地の賃貸借契約は25年3月。期限までに更地にする必要があり、同社は閉園翌日から、遊具全ての解体作業に入る。自ら図面を引いたという同社の四宮武義会長(73)は「思い入れもあった」と悲しむ。 解体した後、遊具はどうなるのか。その質問に四宮会長はこう答えた。「20年前に新品で入れた遊具は、まだまだ働き盛り。余裕で使えますよ」。観覧車を含め、ほとんどの遊具の耐用年数は50~60年。中古で導入したバイキング「ロックバード」を除いて全て新品だった。現在、遊具の取引がある遊園地などと交渉し、次の受け入れ先を探しているという。
■ただ地方の遊園地は「衰退状態にある」
ただ地方の遊園地は「衰退状態にある」(四宮会長)のが実情だ。ヒロシマナタリー(現廿日市市、1996年閉園)、呉ポートピアランド(呉市、98年閉園)…。県内の遊園地は次々に姿を消した。マリーナサーカスの閉園で、県内に残るのはみろくの里(福山市)だけになる。 四宮会長によると、同社が仙台市や静岡市など5カ所で運営する遊園地の中で、マリーナサーカスは最も利益率が高かったという。鋼材など遊具の資材価格や人件費が高騰する中、四宮会長は「観覧車も今作れば当時の2倍の値段はするのでは」とみる。「入場料を取らずに気軽に入れる遊園地は必要だと思いますが…」と残念がる。 マリホの閉園後は、後継施設として「ひろしまモビリティワールド」が27年春に開業予定。自動車用品販売トムス(東京)を代表とする事業予定者が「アジア圏随一のモビリティ・エンターテインメントの聖地」をうたい、多目的サーキットや電気自動車カート場などの整備を想定している。
中国新聞社