【バレー】久光・大竹里歩主将「若い選手が引っ張っていくチームにしたかった。怪我をしてからこんなに試合に出たのは久しぶりで、プレーヤーとしては楽しいシーズンだった」 Ⅴ1女子
不本意な最終戦であったに違いない。 リーグの締めくくりとなるバレーボールV1女子のファイナル6。 久光スプリングスは5位決定戦でデンソーエアリービーズにストレートで敗れ、主将の大竹里歩はベンチで肩を落とし、顔を伏せた。 「選手たちはどのセットも粘り強く戦ってくれた」 試合後の会見で酒井新悟監督はそうコメントしたが、それは今日の講評というよりシーズンを戦い抜いた選手たちへのねぎらいの言葉に聞こえた。 やはり、この日の久光には「らしさ」がなかった。 久光スプリングスはレギュラーラウンドを3位で通過し、上位6チームによる順位決定トーナメント、ファイナル6に駒を進めた。 トーナメントは一発勝負。もちろん久光にも優勝する権利が与えられていた。 レギュラーラウンド全勝のJTマーヴェラスにも昨年の覇者にして皇后杯連覇のNECレッドロケッツにも勝てばいい。ただ、それだけだった。 しかし、一発勝負の怖さを味わったのは久光の側だった。 初戦でトヨタ車体クインシーズにフルセットの敗戦。そこで、久光の優勝は消えた。 久光スプリングスはシーズン最終日に5位決定戦を戦うことを余儀なくされた。 勝ってもメダルすら得られない。 「何のための戦いか」 その思いは、あるいは勝利したデンソーエアリービーズにもあったかもしれない。 主将、大竹里歩はこの試合をどう思ったか、また今季の久光をどう感じていたのか? 酷な状況であったが、試合後に聞いた。
――試合後にベンチで顔を伏せていました。どのような思いがあった? 大竹:先週(トーナメント初戦で)負けてしまって、チームは切り替えるのがなかなか難しい状況でした。 「私がキャプテンとして先頭に立つ。どうにか切り替えていく」 そういう気持ちでこの試合に向けて引っ張ってきたのですが、結局最後の試合も勝ちきれませんでした。責任を感じています。 ――大竹主将自身は今シーズン、プレーヤーとしての貢献も大きかったと思います。 大竹:久しぶりにたくさんの試合に出て、楽しいシーズンではありました。怪我をしてからこんなにフルで出たことはなかったので。 開幕から年内はミドルの選手が揃わなかったので、自分が試合に出てしっかり活躍することがチームの勝ちにつながると思ってやっていました。そこについては全うできたと思っています。 でも、年明け以降…少しチームが詰まった時に主将としてどうチームを助けるか、という課題が残りました。 ファイナル6の2試合も含め、どうやったら自分がチームを助けられるのか。その答えが上手く出せなかったと思っています。 ――5位決定戦は難しい戦いですね。勝ってもメダルはないですし、モチベーションの持って行き方が悩ましい試合だったと思います。前日の夜や、今朝はチームの中でどういう話が出ていた? 大竹:みんな勝ちたい気持ちは一緒なんですが、それでもモヤモヤしているものがあったと思います。 先週、負けてからは練習の中でも少しのプレーでイラッとしてしまうとか、そういう雰囲気がチームの中に見受けられました。 「どんな時もしっかり目を合わせて前を向いてやっていこう」 そういうことを私も言い続けましたし、昨日のミーティングでは 「このメンバーでやるのは最後の一戦。しっかり勝ち切ろう」 という話をしました。 ――今季の久光はどういうチーム? 大竹:風通しのいいチームにしたいと思っていて、若手がどんどん引っ張っていく、そうなることを意識してやってきました。 今日も若い選手が流れを変えるプレーをしてくれたと思います。今シーズンの久光を象徴している姿です。 でも、大事なところで勝ちきれないということが、最後までシーズンの課題になってしまいました。その反省を次のシーズンに繋げていきたいと思っています。 ――ファンに向けて。 スプリングスファンの皆さんは本当に温かくて、最後まで諦めずに応援してくださいました。全国どこにでも駆けつけてくださる方も多くいらっしゃいました。 支えてくれるファンの皆さんのおかげで私たちは試合ができますし、頑張ることもできています。 今日はその方々に勝利を届けることができなかったので本当に悲しいのですけれども、またすぐVCupカップが始まりますし、そこで皆さんの期待に応えられるように頑張りたいと思います。