「検尿と同じ感覚」おばたのお兄さん「不妊治療は恥ずかしさゼロ」予定日10日遅れの出産はまさかのタイミング
治療は自分の体を知る、いいきっかけにもなりました。実は検査で一度だけ、精子の量が少なかったことがありました。僕はタバコも吸わないしお酒もそんなには飲まないのですが、どうやら前日にトレーニングをハードにしすぎて体が疲れた状態なのがよくなかったようで…。自分の体の状態が精子の数に影響がすることを知り、検査前は生活を改めるようになりました。
■予定日より10日過ぎての奇跡の出産 ── 妊娠がわかったときはやはり嬉しかったですか?
おばたのお兄さん:もちろん嬉しかったです。でも自分の周りには、流産や死産、出産時に母親が亡くなった方もいました。だから子どもが元気に生まれて、母親も無事なことが確認できるまでは安心できないなと。喜びを半分くらいに抑えて、妊娠がスタートだと思うようにしました。「よーいドン!」で出発したけれど、ここから転んだり、靴が脱げたり、ゲリラ豪雨にあうかもしれない。危機感を持ち、なにがあってもいいように心の準備をしていました。
この考え方は妻も同じでした。僕にできるのはメンタルを支えることだと思ったので、大きな受け皿でいようと意識しました。 ── 生まれたときはどうでしたか? おばたのお兄さん:本当に感動しました。もともと予定日が名古屋での舞台中だったので出産には立ち会えないはずだったのですが、10日過ぎても生まれてこなくて。いよいよ陣痛が来たのが、僕が名古屋で舞台の千秋楽を終えた直後でした。「今から新幹線に乗れば間に合う!」と思って急いで東京へ戻ることに。到着した3時間後に生まれたので、奇跡的に出産に立ち会うことができました。数時間後に仕事が入っていたのですが、絶妙なタイミングで生まれてくれたので、少し仮眠を取る時間まであって。本当に生まれたときから親孝行な子どもです(笑)。
僕はポジティブで楽観的なので、生まれるまでもなるべく前向きに考えるようにしていましたが、やっぱり親子ともに元気で生まれてきてくれたことは奇跡だと思いますね。 ── 不妊治療を振り返って思うことは? おばたのお兄さん:不妊治療で苦しいのはどう考えても女性側です。授かるまではもちろん、妊娠して出産までも我慢することがたくさんあります。女性が肉体的につらいところは、どうがんばっても代わってあげることはできません。だからそういときに男性ができるのは心の支えになること。妻のことを妻よりも気にかけてあげることが大事だと思いました。
妻の気持ちに寄り添って、一番の味方でいること。そしてそれをきちんと口に出すことは大切だなと思い、僕はなるべく伝えるようにしていました。そのおかげかはわからないですが、今も育児や子どものことで迷ったり悩んだりしたときは、妻は必ず僕の意見も聞いてくれます。信頼してくれていると感じられて、とても嬉しいですね。 PROFILE おばたのお兄さん 1988年、新潟県生まれ。日本体育大学卒業で、野球、剣道、アルペンスキー、剣道などで、好成績を残している。2023年には初の写真集『バースデー』を発売。妻はフジテレビアナウンサーの山﨑夕貴さん。 取材・文/酒井明子 画像提供/おばたのお兄さん
酒井明子