鹿児島港本港区エリア・住吉町１５番街区へ移転が検討される鹿児島サンロイヤルホテル＝２日、鹿児島市与次郎１丁目

　鹿児島サンロイヤルホテルを運営する鹿児島国際観光（鹿児島市、下津昭則社長）は２日、建物の老朽化のため移転新築する方針を発表した。移転先には鹿児島港本港区エリアで県有地の住吉町１５番街区を希望し、現在地の利活用は「白紙」と説明している。同日の臨時取締役会で決議し、県に要望書を提出した。 【写真】〈詳報〉鹿児島サンロイヤルホテルが老朽化のため移転新築　鹿児島港本港区の県有地に建設求め要望書　県が計画する新総合体育館との連携視野に　

　鹿児島国際観光は県や鹿児島市などが出資する第三セクター。ホテルは国体開催に備えて整備され、１９７３（昭和４８）年全面開業した。建物は２０１７年、耐震化が必要と診断された。 　２日会見を開いた下津社長によると、耐震工事は５０億円前後が見込まれる。一方、新型コロナウイルスによる利用者減もあり２３年３月時点の有利子負債額は５０億円弱に膨らむなど財務状況は厳しい。現地建て替えなどを含め検討した結果、耐震化は「費用負担が重い」、現地建て替えは「営業休止期間が長くなる」として、移転新築が最善と判断した。 　住吉町１５番街区を希望する理由として下津社長は「県が建設を計画する新総合体育館（スポーツ・コンベンションセンター）に隣接し、連携することでにぎわい創出の一翼を担える」と話した。長期の定期借地を想定する。 　同街区は、県が今年３月策定した本港区再開発の指針となるエリアコンセプトプランで「コンベンション機能等を核とした交流・観光拠点エリア」と位置付けられた。利活用の例として国際会議や展示会など「ＭＩＣＥ（マイス）」施設が示されているが、これまで再開発の提案はなかった。

　鹿児島国際観光の要望書に対し、塩田康一知事は「先方の考えを聞いた上で対応を検討したい」とコメント。県ＰＲ観光課は「県のエリアコンセプトプランに該当するなら拒否する理由はない」と答えた。今後、県議会にも報告する。