戦力分析/下 内外野連携で高い守備力 左右2枚看板が軸 /香川
<第91回選抜高校野球大会 センバツ> 「3年前に準優勝したチームに比べると爆発的な攻撃力はない」と語る長尾健司監督。だが、「守りだけなら良い勝負かもしれない」。香川卓摩投手(2年)、中塚公晴投手(同)の左右2枚看板を軸に守りからリズムをつくり、昨秋は明治神宮大会まで勝ち上がった。 香川投手は1年秋にもエース番号を背負った。球速が出にくいとされる左腕ながら、最速141キロの直球には力がある。球を受ける新居龍聖捕手(同)は「キレがあって数字以上に速く見える」と話し、香川投手も「指に掛かった直球はあまり打たれた記憶がない」と話す。直球を生かすため、この冬に磨きをかけているのがチェンジアップ。直球と同じ腕の振りで、右打者から逃げるように減速しながら落ちる。低めに決まる精度が高まれば強力な武器になる。他の変化球も多彩で、違う握りで投げたり変化の仕方を変えたりするなど日々研究を重ねている。 右腕の中塚投手は安定感があり公式戦7試合で防御率2・18。右打者には直球に近い速度で鋭く曲がるカットボールを有効に使った。一方、左打者への投球は課題だ。フォークやチェンジアップ、スプリットに近い軌道のツーシームなど、左打者に対しては落ちる球を使ったが、カットボールほどの武器にはなっていない。中塚投手は「県大会で通用していたボールが全国では通用しなかった。センバツまでに精度の高い球種を増やしたい」と意気込む。 野手は11試合中6試合で無失策と堅守だ。中心は遊撃手の大塚慶汰選手(同)。11試合全てに出場し、失策は無し。広い守備範囲と正確な送球でチームを救ってきた。大塚選手と二遊間を組むのが谷口聖弥選手(1年)。身体能力が高く、難しい打球も難なくさばき、同じく無失策だった。2人を中心に11試合で9個の併殺を完成させた。外野も俊足の中堅、飛倉爽汰主将(2年)を中心に堅く、相手打者や状況によって内外野で連携しながら守備位置を変えて守り、投手陣を支えた。【潟見雄大】