新型レクサスLCの存在価値は偉大だ!!! ソアラの流れを汲む和製高級クーペが日本を代表する1台であるワケとは
一部改良を受けたレクサス「LC500h」に、大谷達也が試乗した。今や希少な和製ラグジュアリークーペの魅力とは。 【写真を見る】新型LC500hの内外装(17枚)進化&変更ポイントを実車で解説!!!
乗り味“激変”
レクサスがフラッグシップクーペ、LCを一部改良したのは2023年6月のこと。内容はLC500/LC500コンバーティブルのエンジンマウント特性を変えたり、LC500h/LC500のリヤサスペンションメンバー取り付け部を補強したり、LC500コンバーチブルでトンネルブレース追加や床下ブレース補強をおこなうなど、どれもディテールに関わるものばかり。他ブランドのマイナーチェンジでよくあるフロントマスクのデザイン見直しエンジン出力アップなどと異なり、地味な印象は拭えない。 けれども、その乗り味が“激変”したことは、改良型のLC500hに試乗し始めてすぐに感じられた。 乗り心地がしっとりとしていて優しいのに、ボディが前後に揺れるピッチングという現象もきれいに抑え込まれているので、とにかく上質で快適に思える。しかも、足まわりのしっかり感が格段に向上しているのでステアリングは正確そのもの。おかげで、クルマが走るラインを1cm単位で調整できるのではないか? と、思うくらい自由自在に操れる。結果として、ステアリングを握っていて強い安心感が得られるほか、「あぁ、いいクルマに乗っているなぁ」という深い充足感が味わえるのだ。 実は、こういう乗り味やハンドリングは最近のレクサスに共通したもので、どのモデルに乗っても似たようなキャラクターに仕上がっていることに気づくはず。もちろん、ボディの大小やモデルのポジショニングによって味付けが濃かったり薄かったり、もしくは微妙にニュアスンが違ったりはするけれど、どれに乗っても無理なく“レクサス味”でひとまとめにできる。これは、レクサスのようなプレミアムブランドにとって極めて重要と思う。 正直にいえば、数年前までのレクサスはモデルごとに味付けがバラバラで、どこにレクサスの真髄があるのかがわかりにくかった。それどころか、おなじモデルでもパワートレインがエンジンかハイブリッドかで、乗り心地や操作感が大きく異なっていることが少なくなかった。 それがひとつの味にまとまり始めたのは、ここ数年だ。どれも滑らかで快適な乗り心地なのに、正確なハンドリングも同時に実現できるようになってきたのだ。 裏を返せば、いまのレクサスは、自分たちが目指すべき姿がどこにあるかを明確に意識していると同時に、それを実現するにはどこをどうすればいいかも把握していることになる。そして前述した細かな改良は、彼らが“レクサスをよりレクサスらしくする”ために是非とも必要と考えるものばかりだったのである。