【菊花賞】トライアル組は着順で取捨、神戸新聞杯勝ちは複勝率5割超え メイショウタバルが展開のカギを握る
今度こそレースの中心に立つメイショウタバル
ダービー馬ダノンデサイルが二冠をかける。昨年タスティエーラで取り上げられたが、ダービーと菊花賞の二冠制覇はクリフジ(※オークスを加えた変則三冠を達成)、タケホープの2頭だけ。ダノンデサイルが勝てば、51年ぶり3頭目となる。 菊花賞は逆転の一冠といわれ、夏の上がり馬が勝つレースでもあったが、ここ10年では前走条件戦が【1-1-4-44】勝率2.0%、複勝率12.0%と苦戦。勝ち馬はドゥレッツァしかいない。上がり馬はトライアルで重賞を経験してから本番が理想で、好走馬は前走GⅡ【8-8-6-95】勝率6.8%、複勝率18.8%から出る。 一方で、ダノンデサイルと同じダービーからの直行は【0-1-0-1】。昨年タスティエーラの2着のみ。さすがに夏を越すからか、GⅠからGⅠへ、とはいかない。9月にひと叩きして本番が良く、ダノンデサイルはどうか。ちなみにダービーとの二冠を達成した上記2頭はいずれも皐月賞を走っていない。皐月賞をゲート入り直前で除外になった事実がここにつながるのではないか。 春と違い、トライアル組が強力なのも菊花賞の特徴だ。前走神戸新聞杯【5-4-4-52】勝率7.7%、複勝率20.0%、セントライト記念【3-3-2-39】勝率6.4%、複勝率17.0%。関東馬が3連勝中と勢いがあるからか、最近はセントライト記念組も良い。 神戸新聞杯組は1着【2-0-2-3】勝率28.6%、複勝率57.1%など、3着以内【5-4-3-14】。4着以下が【0-0-1-38】なので、出走権を自力で獲得した馬を上にとろう。今年はメイショウタバルが逃げ切った。改めてダービー取消が悔やまれる。 菊花賞の逃げ切りはハククラマ、セイウンスカイ、タイトルホルダーの3頭しかない。セイウンスカイで逃げ切った横山典弘騎手が乗るダノンデサイルを破ることができるか。長距離戦の逃げを熟知した横山典騎手に対し、どんな手に出るだろうか。父ゴールドシップは菊花賞を3コーナーからまくって勝利。荒っぽい競馬が合うタイプだけに、レース展開への興味は尽きない。 セントライト記念はもう少し範囲が狭く、1、2着【2-1-2-9】、3着以下【1-2-0-30】。アーバンシック、コスモキュランダが候補だ。注目は後者。弥生賞ディープインパクト記念1着から二冠を走り、セントライト記念2着は昨年、早世した菊花賞馬アスクビクターモアを思い出す。 ライタープロフィール 勝木 淳 競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『アイドルホース列伝 超 1949-2024』(星海社新書)に寄稿。
勝木 淳