ダリオ氏考案の戦略、成績低迷で投資家が逃避-かつての人気から一転
(ブルームバーグ): それは魅力的な売り文句だった。レイ・ダリオ氏が率いるブリッジウォーター・アソシエーツや他のヘッジファンドの幹部は、長期的に利益を生むことが確実な戦略だと約束して投資家から資金を集めた。しかし今、5年間ものリターン低迷の後、「リスクパリティー」ファンドに多額の資金を投じた機関投資家の多くが、資金返還を求めている。
ニューメキシコ州、オレゴン州、オハイオ州の公的年金をはじめとする投資家が資金を引き揚げ、3年前のピーク時からこの種のファンドの運用資産は推定700億ドル(約10兆8000億円)も縮小した。時間を与えてほしい、次の10年はこれまでとは違うというファンド側の訴えは、多くの投資家にはむなしく響く。
約170億ドル規模のニューメキシコ州公務員年金のアドバイザーを務めるベルス・インベストメンツのマネジングディレクター、アイリーン・ニール氏は「長い間失望してきた。リスクパリティーが本当に成功したのは金融危機のときだけで、そのときが全盛期だった」と話した。
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)後のブームと破裂を通じた成績低迷は、ダリオ氏が考案した資産配分手法への信頼を揺るがした。この戦略は、各資産のボラティリティーの高さに基づく分散投資に重点を置き、しばしばレバレッジを利用して、取ったリスクとの比較で最適のリターンを得ようとする。
2008年の金融危機の後、投資家が次の大災害から身を守る方法を求めたため、この戦略は隆盛を極めた。しかし、投資家が再び株式に投資するようになると、株価上昇期に出遅れてしまった。そして22年、米国債のような安全資産が下落すると、リスクパリティーファンドはさらに大きな打撃を受けた。
業界の広範な指数によると、リスクパリティーファンドは19年以降毎年、株式6割債券4割の「60/40ファンド」に後れを取っている。
イーベストメントのデータから作成されたベルスの推計によると、リスクパリティーファンドの資産は21年ピーク時の約1600億ドルから23年末には約900億ドルまで減少している。