〝1テイク歌姫〟チェウニ 偉大な母の名声から離れ日本で自力勝負 韓国ソウル出身、今年デビュー25周年 「生まれ変わっても歌う」
【ぴいぷる】 韓国・ソウル出身で今年、日本デビュー25周年を迎えた。聴く人の心を震わせる歌声から〝都会派バラードのパイオニア〟との異名を持つ実力派だ。 「後ろを振り返らず、ただただ前へと進んできたからこそ、ここまでこれたのだと思います」 レコーディングの際は曲のメロディーを覚えるだけで、あえて練習せずに臨むという。表現力が豊かであるがゆえの弊害があるようだ。 「練習すると歌詞の世界観に深く入り込んで、曲が重く感じられてしまうから、メロディーを覚えるだけで参加してくださいと言われるんです。レコーディング本番ではよほどのことがないかぎり、1テイクくらいで終わります。ディレクターが許してくれれば、もっと歌いたいんですけどね」 歌手の才能は子供の頃から開花していた。8歳にしてキャリアをスタートさせ、10代で数々の音楽賞を受賞するなど大活躍だった。 そんな彼女の母は、韓国で〝エレジーの女王〟と呼ばれ、昨年に金冠文化勲章を受章した国民的歌手の李美子（イ・ミジャ）だ。 「だから、韓国ではどこへ行っても親の七光というか、『李美子の娘』と紹介されるのが当たり前でした。母の力に頼ることなく、何とか自分の名前だけでやってみたいと日本に行くことを決めたんです」 自身の可能性を広げるためとはいえ、海を渡るのだから相当な覚悟だ。故郷を飛び出そうとする娘に母は反対しなかったのだろうか。 「何も言わずに送り出してくれました。ただ、母も、自分の経験から歌の道の苦労は分かっていますから、言葉にはしなくても心配していたと思います」 母国でのキャリアを捨てて挑んだガッツは、1999年のデビュー曲「トーキョー・トワイライト」で実を結ぶ。翌年に同曲で第42回日本レコード大賞の新人賞を受賞。「韓国では安定した活動をできましたが、日本では新人ですから、無我夢中でした」と振り返る。 「デビュー当時は日本語が分からなかったので必死でした。歌詞も自分で書いて覚えていましたね。これが練習にもなりました。今でも自分の思っていることを完璧には伝えられないもどかしさがあります。でも不思議なもので、普通の会話ではできない発音もメロディーに助けられて歌ではできるんですよね」 天賦の才とたゆまぬ努力で輝かしいキャリアを築き上げた。今年4月には、数多くのヒット曲を生み出してきた作曲家、浜圭介氏が手掛けた25周年記念曲「オータム イン トーキョー」（テイチク）をリリースした。
