大阪の老舗商店街 初の100円商店街へ店主らの意気込みは
安立は一寸法師ゆかりの町
安立の地名は江戸初期、ご当地に住んでいた名医、半井(なからい)安立の名にちなむ。安立商店街を歩くと気づくのは、アーケードに設置された一寸法師の垂れ幕だ。「一寸法師ゆかりの町」とあり、一寸法師の「あんりゅーくん」が、お椀の舟に乗り、針の刀を振りかざしているシーンが描かれている。 子宝に恵まれない夫婦が、安立からほど近い住吉大社に願掛けをしてところ、一寸法師を授かる。一寸法師はお椀の舟で川を上り、京の都へ。お姫さまを襲った鬼を、針の刀で退治し、打ち出の小槌で大人に変身して姫と結ばれるという物語だ。 江戸時代、針の製造販売は安立の地場産業だった。針を扱う行商人たちが一寸法師の物語を販売促進に引用しながら、安立の針を全国へ広めたと考えられる。 「紀州藩主が参勤交代で紀州街道を通過する絵図には、安立の町がにぎわっている様子も描かれています。霰(あられ)松原公園周辺は、かつて海岸線で、歌に詠まれた名勝の地でした。『100円商店街』をきっかけに安立の町を散策し、歴史文化にふれてみてください」(吉田さん)
いろんな人たちが集まるまちに
奥田理事長は鮮魚店を営む傍ら、月2回のペースで土曜日の夜、ジャズを聴く会を開いてきた。LPレコード千枚に達する自身のコレクションやファンが持ち寄った作品を聞きながらグラスを傾ける。商店街の鮮魚店がジャズバーに変身するわけだ。 商店街にはリコーダーの世界的メーカー、竹山木管楽器製作所がある。明治期創建の町屋「嶋屋喜兵衛商店」を改修し、新たな店舗やコミュニティ施設として市民に開放するプロジェクトも進行中だ。 奥田さんは「安立がいろんな人に集まってもらえるまちになればいいですね」と静かに意気込む。「安立100円商店街」は26日午前10時スタート。路面電車に揺られて、少し遠出してみるのもいいのではないだろうか。 (文責・岡村雅之/関西ライター名鑑)