特殊詐欺疑い10人のうち4人が闇バイト応募 福井県警2024年摘発「個人情報教え、恐怖」
福井県警が今年(11月末現在)、特殊詐欺事件で摘発した容疑者10人のうち、4人が交流サイト(SNS)上で犯罪の実行者を募る「闇バイト」に応募していたことが県警への取材で分かった。4人はいずれも福井県外在住者。応募した1人は「指示役に個人情報を教えている恐怖があった」と話しており、県警は「応募してしまうと詐欺や強盗といった犯罪に加担することになる。絶対に手を出さないでほしい」と呼びかけている。 闇バイトは、SNSで「簡単に高額報酬を得られる」などとうたい、犯罪実行者を募集する。応募すると、特殊詐欺や強盗などのグループの一員として犯罪に手を染める危険性がある。秘匿性の高い通信アプリ「テレグラム」などで個人情報を送信すると、その後「家族に危害を加える」などと脅され、犯罪グループを抜け出せなくなるケースがあると指摘されている。 県警組織犯罪対策課によると、特殊詐欺では現金を受け取る「受け子」や、ATMで他人の口座から現金を引き出す「出し子」として利用されるケースが多い。県警が摘発した4人は20、30、40代の男1人ずつと30代の女1人。 摘発された1人は、SNSで「高収入バイト」と検索して闇バイトの募集を見つけた。指示役からは、福井県内の駅に移動後、高齢者から荷物を預かるよう指示された。「詐欺ではないかと思ったが、個人情報を教えている恐怖やお金欲しさから後に引くことができなかった」と話し、受け子として利用されたことを反省しているという。 県警は、摘発された4人が関与した事件はSNSでつながる「匿名・流動型犯罪グループ(匿流)」による犯行とみて捜査している。同課は「もし応募してしまった場合、警察にすぐに相談を」と話している。 県警はSNS上で闇バイトの募集が疑われる投稿を監視している。人工知能(AI)を活用するなどして「闇バイト」「ホワイト案件」などのキーワードを基に不審な投稿を判別し「この投稿は、犯罪の実行者を募集する不適切な書き込みです」と投稿者に警告する。
福井新聞社