迷惑系「撮り鉄」マナー対策、鳥取県で“独自ルール”制定 「鉄道愛好家として好意的な印象」山添拓議員も納得の中身とは
自身の“反省”踏まえ教訓にしていること
温かい取り組みを歓迎する一方、撮り鉄側も「『撮影させてもらっている』という立場で臨むことが大事」と山添議員は語る。 実は山添議員自身、2020年に鉄道写真の撮影で埼玉県長瀞町を訪れた際、横断禁止の線路を許可なく渡ったとして鉄道営業法違反や軽犯罪法違反の疑いで書類送検(のちに不起訴)された経験がある。これを踏まえ、自身の反省と教訓についてこう話す。 「私自身、非常に軽率な行為をしてしまったと反省していますし、大変多くの方にご心配をおかけしました。 そのうえで教訓とすべきことは、基本的なことになりますが、やはり安全な運行を害するような行為は決してあってはならないということです。これは、撮影に限らず鉄道を趣味とする者ならば、なおさら肝に銘じなければいけません。 迷惑駐車をしたり、木が切られたりする事例も時々報じられます。こうした行為は、沿線住民にとって当然受け入れがたいことだと思います」(山添議員) これらの行為は「鉄則」に反するだけでなく、罪に問われる場合もあり得るという点でも注意が必要だ。 鉄道施設内や線路内に無断で立ち入った場合は鉄道営業法に違反する可能性があるほか、営業時間外の駅や、他人の私有地に無断で入るという行為は住居侵入罪・建造物侵入罪に該当するおそれがある。 ほかにも、過去の事例では器物損壊罪や、業務妨害罪、往来危険罪などの容疑で撮り鉄が書類送検や逮捕されている。 こうしたトラブルを起こすことで、他の撮り鉄にも悪い影響を及ぼしてしまうと山添議員は指摘。 「一度トラブルが生じると、 その場所では二度と同じように撮影することができなくなるかもしれません。 周囲への配慮はもちろん、『この場所で撮影をしたい』と願う同じ趣味を持つ人のためにも、ルールやマナーを守ったうえで鉄道写真の撮影に臨むことが必要だと思います」
鉄道の撮影通じて「人間として豊かに」
「鉄則」ではマナーを守ること以外にも「列車はもちろん観光や食など地域の魅力も満喫しましょう」(第5条)と定められている。 「第5条の内容も、とても大事なことだと思います。撮り鉄の皆さんは鉄道に対する愛が深く、たとえ遠方であっても全国各地にフットワーク軽く出掛けていきます。 その際に、訪れた先で各地の景色やその土地の人々、風物に接し、観光したり食を楽しんだりといった地域の魅力を満喫することは、人間を豊かにするものと思います。 こうした側面も含めて、多くの人が鉄道の撮影を楽しめるといいなと思います」(山添議員) 6月15日に定期運行を終えた381系やくもだが、今後も繁忙期などに臨時列車として運行予定だという。 何かと批判が集まりがちな「撮り鉄」だが、「鉄則」を守り、安全に楽しみながら地域の魅力にも接すれば、地域住民や鉄道会社との関係も、より良いものになるのではないだろうか。
弁護士JP編集部