「小浜ルート」に懸念、京都で続出 地下水、残土処理、財政負担… 市長「簡単に払拭できない」
北陸新幹線の敦賀以西延伸を巡り、京都府内で現行の「小浜ルート」に対する懸念の声が続出している。京都市の松井孝治市長は4日、地下水への影響や工事に伴う残土処理などに対する懸念を表明。11月には自民府議団が府知事にルート見直しを国に求めるよう要望するなど、「小浜ありき」の議論に対する批判が強まっている。既に「米原ルート」への再考を求める決議を行った石川県議会では、見直しの機運を高めようと府議会との連携を模索する動きが出てきた。 「国家的な意義は理解しているが、懸念が簡単に払(ふっ)拭(しょく)されると思えない」。4日、定例会見に臨んだ京都市の松井市長は、小浜市から南下して京都市を経由し、新大阪駅に至る小浜ルートについて、こう語った。 松井市長は具体的な懸案事項として▽地下水の環境への影響▽工事で出る土の処理▽工事車両による交通渋滞▽財政負担―の4点を挙げ、「説得力のあるデータや根拠で、安心できる確信を与えてもらえなければ当然同意できない」と述べた。 さらに松井市長は、こうした懸念を近く開催される与党整備委員会の意見聴取で伝えると強調。整備委は3案ある小浜の詳細ルートを1案に絞り込むために沿線自治体の意見を聞く方針だが、市長は3案について「どのルートが良いかをコメントするつもりはない」とし、あくまで府民の不安解消を優先させる考えを示した。 小浜ルートを巡っては、京都府酒造組合連合会が2日、酒造りに不可欠な地下水に影響を及ぼさないルートを政府・与党に求めるよう西脇隆俊府知事と松井市長に要請。今月中旬には府内の大学教授らが小浜の問題点などを考える勉強会を開催する予定となっている。 ●府議団と意見交換 こうした中、米原ルートへの再考を主張する自民党石川県連最高顧問の福村章県議は「京都市長の心配はもっともだ」と指摘。近く京都を訪れ、府知事にルート見直しを求めた自民府議団の有志と意見交換する考えを示した。