ダルビッシュを「生意気だなんて思ったことない」日本ハム時代バッテリーを組んでいた鶴岡慎也さんが語る後輩の良き姿勢
◆米大リーグ ブレーブス1―9パドレス(19日・米ジョージア州アトランタ=トゥルイストパーク) 【写真】MLBも公式インスタグラムで日米200勝を祝福 パドレス・ダルビッシュ有投手(37)が19日(日本時間20日)、敵地・ブレーブス戦に先発して7回2安打無失点の快投で今季4勝目(1敗)を挙げ、日米通算200勝(日本93勝、米国107勝)を達成した。ダルビッシュと日本ハム時代に数多くバッテリーを組み、今でも感謝されるのが元捕手の鶴岡慎也さん(43)=野球解説者=。後輩右腕の偉業を喜び、思い出や投手としてのすごさに触れた。 * * * ダルビッシュを生意気だなんて、思ったことがありません。プロ野球選手としてのダルビッシュ有と鶴岡慎也の差っていうのは、僕が一番感じていたので。彼がしっかり投げてくれて、成績を残してくれて、次の試合もまた捕手として使ってもらえる。感謝の気持ちしかありませんでした。 高校生の時からいろんなことに注目されて、最初はバリアを張っているなと感じました。バッテリーを組めば、お互いに仕事。彼は部活の延長ぐらいな感じでしたけど、他のどの投手よりもいい球を投げていました。かといって、そこで完成されず、ものすごく伸びしろも持っていました。 ぶつかったことは本当にありません。僕からは「ちょっと申し訳ないけど…」とクイックやけん制をお願いしたぐらいです。彼からすれば、盗塁されようが、けん制を入れずに走られようが、抑えればいいんでしょ?って。実際に、それだけ能力がありました。 隙を見せるのが大嫌いな投手ですので、実はしっかり、けん制やクイックの練習もしてくれていました。走者が二塁に行った時、握りが分かってるんじゃないか?とか、僕のサインがランナーに盗まれてるんじゃないか?とか。そういう細かいところまで気にする投手でもありました。 勝負事なので、勝てない時やうまくいかない時もあります。ある試合の後に「変な態度をとってすみませんでした。ツルさんにとったわけじゃなくて、自分自身が情けない。打たれてしまった自分に対してなので、気にしないでください」とメールをくれることもありました。気遣いの言葉があるから、お互いにわだかまりなくできるんです。当時はインコースを使えとか、もっとけん制をさせろとか、クイックをするようにとか、ベンチから僕に要望がありました。ただ、2人の信頼関係、僕の自信もあったので、彼に伝えることはありませんでした。 けがをした時期もあり、年齢も重ねて、いろんなことが見えるようになってきたんじゃないでしょうか。WBCで最も彼が求めたのは、日本の勝利。責任感、雰囲気がめちゃくちゃ出ていました。38歳になる年でも、ドジャースと同じ地区で争っているチームのエースですので。もう、チームのワールドシリーズ優勝に向けてのことしか、考えていないと思います。彼が「次は201勝目」と言ったように、当然の通過点にしてほしいと思います。(鶴岡 慎也)
報知新聞社