りんたろう「山中貞雄に捧げる漫画映画『鼠小僧次郎吉』」特別映像!
りんたろうが監督するサイレントアニメーション「山中貞雄に捧げる漫画映画『鼠小僧次郎吉』」の本編特別映像が公開された。また11月23日(土)からユーロスペースで同作上映と共に開催される「りんたろうMEETS山中貞雄」のタイムテーブルとゲストトークの全貌も発表された。 【関連画像】「山中貞雄に捧げる漫画映画『鼠小僧次郎吉』」場面カットを見る(画像9点) 日本映画の黎明期、サイレントからトーキー初期にかけて活躍し、その後、夭折した映画監督・山中貞雄。 彼が生前遺した「鼠小僧次郎吉-江戸の巻」を、『銀河鉄道999』『幻魔大戦』の日本が誇るアニメーション監督・りんたろうがサイレントアニメーション化した「山中貞雄に捧げる漫画映画『鼠小僧次郎吉』」。 第1回新潟国際アニメーション映画祭でワールドプレミア上映され、フランスのアヌシー映画祭、リュミエール映画祭での上映を経て、今年9月にアメリカ・ロサンゼルスで行われた日本映画祭にて最優秀アニメーション賞を見事受賞。国内外の映画祭での上映が相次ぐなか、2024年11月23日(土)からユーロスペースでの上映が決定した。 同作の上映に合わせ、「りんたろうMEETS山中貞雄」と題し、現存する数少ない山中作品の中から『丹下左膳余話 百萬両の壺』『河内山宗俊』『人情紙風船』の傑作3本を同時上映。 また「りんたろう自選作品集」として、『カムイの剣』『幻魔大戦』といったメインストリームな作品から『48×61』『オサムとムサシ』『火の鳥 鳳凰編』ほか滅多にスクリーンではお目にかかれないオルタナティブ的な作品まで日本アニメ史に刻まれる名作が一挙上映される。 今回公開される本編特別映像は、冒頭プロデューサーや撮影所所長らお偉方の「いいシャシン頼むね~」の声を背負いながら山中貞雄監督があくびをしながらどっしりとディレクターズチェアに座り込み、カットのスタートをかける様子が描かれる。 マイペースなそれまでの様子と違い、鋭い眼光で見つめる山中監督。ただよう緊張感。「ヨーイ……ホイ」という独特な掛け声とともにカチンコがなると、寺の鐘とともに音楽が走り出す。美しく水面に光る月と舞い散る紅葉、そして、駆け出すネズミと謎の人影……。 音楽と映像が巧みに折り重なって「何かが起こる」予感に満ちた映像となっている。 この冒頭の山中貞雄パートのキャラクターデザインを手掛けたのは大友克洋。りんたろう監督は、山中が残した脚本をそのまま映像化するのではなく、「山中貞雄へのオマージュ」として本作を構想していった。その中で白羽の矢が立ったのが大友克洋。自身も山中のファンだという大友は、りんたろう監督からの打診を即決。山中貞雄自身の写真も数枚しかなかったというが、見事に特徴を捉えたキャラクターとなった。 本編中の「鼠小僧次郎吉 江戸の巻」のキャラクターデザインは兼森義則が手がけているが、このパートにはさまざまなモチーフが散りばめられている(昭和の大スターのあの人も登場!?)。アニメファンのみならず根っからの映画ファンには、そういった作り手の遊び心を見つけるのも楽しみの一つだろう。また、これから日本映画の名作に触れたいと思う人にも23分の作品なので、入門編としてご覧いただくにも最適。 『八犬伝』『十一人の賊軍』『侍タイムスリッパー』など、日本映画界で時代劇が元気を取り戻した2024年、アニメ界にも今再び新しい<時代劇>の風が吹く。 また、ここでしかみられない貴重な作品が並ぶ「りんたろうMEETS山中貞雄」「りんたろう自選作品集」のタイムテーブルとゲストトークの全貌も公開された。 「りんたろうMEETS山中貞雄」では、夭折した山中貞雄監督が残した現存する3本の作品『丹下左膳餘話 百萬両の壺』『河内山宗俊』『人情紙風船』の3作品を上映する。 サイレント映画期の「画で見せる」巧さからトーキー時代に移って男の意地と女の秘めた情を巧みに描いた「天才」。時代が変わっても全く古びれることのない名作をぜひ味わってほしい。 「りんたろう自選作品集」では、『幻魔大戦』『迷宮物語』『メトロポリス』といった代表作の他にも、今まで上映機会が多くなかったOVA作品『真・孔雀王』(「天魔復活」「崑崙鳴動」)、矢野顕子が主題歌を歌う『X電車で行こう』、幻魔大戦以来、20年来の親交を深める大友克洋監督へのエールとして制作した『48×61』(キャラクターデザイン寺田克也、音楽・本多俊之、制作・マッドハウスという超一流スタッフによる前代未聞の激励アニメ!)、手塚治虫記念館のために作られ、少年時代の手塚治虫とペンネームの由来の昆虫との交流を描いた『オサムとムサシ』など貴重な作品が特別上映される。 りんたろう監督による舞台挨拶やトーク、また長年の盟友であり日本アニメーション界の重鎮・丸山正雄プロデューサーとのトークなど、必見のプログラムとなっている。 日本のアニメーション界の創世記から現代まで第一線で活躍を続けるりんたろう監督が、山中貞雄への熱き思いを込めた恋文的作品となった「山中貞雄に捧げる漫画映画『鼠小僧次郎吉』」。ぜひご注目いただきたい。 (C)2023 M2/GENCO/MIYU (C)手塚プロダクション
アニメージュプラス 編集部