サントリー食品インターナショナル 朝起きて水1杯、空腹の時間をつくる 超低ハードルの健康アプリ開発
【わが社の「健康経営」】サントリー食品インターナショナル(1) 職場から健康習慣を求められても、摂取不足の野菜は値段が高くて手を出しづらく、疲れていると歩くこともままならない。厚生労働省の2022年「国民健康栄養調査」によれば、野菜摂取量や1日の歩数の平均値は有意に減少していた。そんな状況の打開策として、20年にサントリー食品インターナショナルが「超低ハードル」の健康アプリを開発した。 【簡単なタスクで継続を促す】 アプリ担当者の同社イノベーション開発事業部の東琢人氏は次のように話す。 「18年当時、生産労働人口の減少と健康経営の必要性に注目が集まる中、施策を打ち出したくても費用の問題で導入できない中小企業様の声をいろいろ聞きました。当社は、特定保健用食品などを扱っており、健康領域に強みがあります。それを生かした新たなサービスを考えたのです」 従業員が取り組みやすく、継続できる方法はなにか。筑波大学発の健康支援事業のコンサルティング会社「THF」の協力を得て、科学的な根拠を持ちながら、とても簡単に取り組めるアプリを開発したという。その名は「サントリープラス」。 「アプリ内のタスクは、『朝起きて水を1杯飲む』『空腹の時間をつくる』など簡単なものばかりです。当社の飲料自販機と連動させ、週3日、タスクを実践すると、トクホ飲料と交換できるクーポンやポイントがたまるようにもしています」(東氏) 【自販機を見てやる気が湧く】 「サントリープラス」は、24年からサントリーグループ全社でも展開。このアプリをよく活用しているという従業員は「クーポンで『特茶』(特定保健用食品)をゲットしました。タスクを続けるとクーポンやポイントがもらえるので、自販機を見るとタスクをやらなければと思います」といって笑顔を見せていた。 別の従業員は、「電車の中で『肩甲骨を寄せて広げる』というタスクを見てやってみました。アプリがほめてくれるので、モチベーションが上がります」と話していた。 「自社でも活用していますが、メインは他企業様向けの健康経営サービスです。当社の自販機設置が条件になりますが、サービス導入から利用まで無料で提供しています。従業員向けアプリに加え、健康経営の担当者がデータを見たり、健康施策を実施したりできるWebサービスもあり、従業員の健康行動を手軽に促進できると嬉しいお声をいただいています」(東氏)