一生役立つ「靴の知識」!学校で、家で、見直していきたい“当たり前”って?【靴のマイスターに聞く!#5】
学校の「昇降口の構造」にも、気になる点が…
「足に関する意識の違いは、例えば学校生活にも表れています。 日本の小学校の場合、昇降口にはすのこのような狭いスペースしかない場合が多く、座らずに靴を履くことが普通ですよね。大勢が素早く靴を脱いだり履いたりするためには、効率的な仕組みなのかもしれませんが、腰を下ろさなければ、“かかとをトントンしてから、ひもやマジックテープでしっかりとめる”という履き方はできません。 上履きも、靴ひもやマジックテープがないものが多く、足をしっかり支えるのには不向きな履きものです。小学生の年齢は、足の骨格がまさに形成されてゆく大事な時期。今の上履きの在り方は、見直されるべきだと感じます」
正しい知識を身につけ、次世代の“当たり前”に
「靴や足のトラブルは、長年の積み重ねによって発症することが多く、それまではなかなか目に見えません。そのため、今の習慣が将来、どんな影響を生むかまで、なかなか想像が及ばない場合も多いでしょう。 工業的に作られた市販の靴の中には、デザインや金額ばかりを重視して作られたものも含まれていて、“将来の足の健康”に繋がるものとそうでないものが入り交じった状態です。 ですが、今回のシリーズ記事を通して読んで下さった方はきっと、その中から「自分に合う靴」を自分自身で選ぶための考え方が掴めてきたのではないでしょうか。 日本の社会全体が、もっと靴に興味をもって知識を深め、未来の新しい“当たり前”を作っていくことで、足に悩む人はもっともっと減らせるはず。 私はそのために、これからもより良い靴を研究して作り続けていきます。これを読んでいるあなたも、ぜひ、周りの人と靴の話をしてみていただけたら嬉しいです」 撮影/五十嵐 美弥(小学館)
【教えてくれた人】 中井要介(なかいようすけ)さん 医療靴先進国であるドイツで9年間修業し、ドイツ国の職人最高職位であるドイツ整形外科靴マイスターを取得。ドイツ整形外科靴マイスターと、日本国内の義肢装具士資格の両方を取得した初の医療技術者であり、2016年からは「マイスター靴工房 KAJIYA」の代表取締役を務める。 現在も、経営と並行して義肢装具士・靴職人としての靴づくりを勢力的におこなっており、「足に問題を抱える方の可能性をひろげるような靴を提供し、一人でも多くの人を笑顔にする」という理念のもと、日々奮闘している。 「マイスター靴工房 KAJIYA」(東京都・東久留米市/兵庫県・神戸市灘区) 1980年に「梶屋製作所」として開業して以来40年以上、「歩く喜びをあなたに」というビジョンのもと、様々な悩みや問題をかかえる人々に向けたフットウェアを研究・製作してきた靴工房。 「機能面での歩きづらさ」「デザイン面での心理的なハードル」を取り除くような下肢装具・医療用靴をオーダーメイドで製作しており、「外反母趾」や「扁平足」、小さなキズが大きな足の問題になりやすい「糖尿病」の患者に向けたインソールなどにも注力している。 ※装具やインソールの製作は、内容によって、事前に必要な手続きが異なります。来店の前に、まずはホームページからお問い合わせください。
kufura編集部