潜入!! 日産愛媛自動車大学校 業界最前線に立つ自動車整備士育む
日々の生活に欠かせない自動車。その安全な走行を支えているのが、車検や定期点検などメンテナンスを担う自動車整備士だ。しかし、整備士の高齢化が進んでおり、少子高齢化の影響で担い手の先細りが懸念されている。日産愛媛自動車大学校(松山市宮西2丁目)は全国に5カ所ある日産グループ校の一つとして整備士を育成し、系列の販売店を中心に送り出している。電気自動車(EV)の普及や自動運転技術の登場などクルマを取り巻く技術が日進月歩で進む中、どのように人材を育成しているのか。整備士養成学校をのぞいてみた。(織田龍郎) 6月中旬。3年生の生徒たちが目の前の乗用車に向き合っていた。取り組んでいるのは、エンジンの故障箇所を推定するテスト。運転席に座ってメーターパネルの表示を確認したり、アクセルを踏み込んだりして異常の有無を確認。タブレット端末を使いながら故障箇所を絞り込んでいった。調子が悪くなった車をメンテナンスする際に、原因を絞り込んでいくため必要なスキルだ。 1級整備士の資格取得を目指す3年宇高桜輝さん(20)は「(テストは)少し失敗したかも…」と苦笑いする。3年次は授業内容が高度になったといい「一つ一つの実習での『できた』という達成感が大きい」と充実の学生生活を送っている。 日産愛媛自動車大学校には、国家資格1級が目標で4年制の「1級自動車工学科」、2級が目標で2年制の「自動車整備科」、留学生が所属する3年制の「国際自動車整備科」を設けており、2024年度は165人が在籍している。 開校は半世紀近く前の1977年4月。岡豊理事長(愛媛日産自動車社長)の父・勉氏の「個人塾のような形」で、愛媛自動車工業専門学校としてスタートした。全国の日産グループ校5校の中でも最初の設立だった。岡理事長によると、モータリゼーションの到来に伴い、販売会社の店舗網が拡大するのを見据え、自前で育成しようと始まった。2003年に1級整備士課程を開設、07年に現在の校名に変更された。 日本自動車整備振興会連合会によると、国内の整備要員は39万人台で推移。このうち国家資格を有する整備士は、2023年度時点で33万1255人だ。ただ、整備要員の平均年齢はじわじわと上昇が続く。保有車両台数は8245万1千台で、「1世帯1台」ほどの普及率だ。 業界では少子化と人口減少の影響が懸念されている。18歳人口は2022年の約112万から、2040年に96万人へ減る見通しだ。18歳人口の減少が続く中、四年制大学への進学率が伸びる一方、専門学校は横ばいとなっている。
愛媛新聞社