グラフで見る「希望・早期退職募集」 2002年と2009年に大きく増加
グリーが200人規模の「希望退職募集」を実施したという報道は、驚きをもって受け止められました。ルネサスエレクトロニクスなどに続く同様のニュースに「私は大丈夫だろうか?」と不安になるところです。東京商工リサーチによると、2013年に主な上場企業が実施した希望・早期退職募集は減少傾向だといいます。2000年以降の流れはどのようになっているのでしょうか? グラフで状況を見てみましょう。
2002年と2009年が多い
東京商工リサーチがまとめた、2000年以降に希望・早期退職を募集した企業数のグラフを見ると、2002年と2009年に大きなヤマが出来ています。 2002年は計200社が希望・早期退職募集を実施。総募集人数は3万9732人でした。2000年以降で最多です。もう一つのヤマは2009年。実施企業数は191社で、総募集人数は2万2950人でした。 なぜ2002年と2009年が頭抜けて多いのでしょうか。 2002年が大幅に増えた理由は2つ考えられるといいます。1つ目は、ITバブルが崩壊したこと。もう1つは、小泉政権下で進められた銀行の不良債権処理の影響でリストラ行わざるを得なくなった企業が増えた、というものです。 2009年は、前年に起きた「リーマンショック」の影響で業績が落ち込んだ企業が多かったことなどが背景にあると言います。
「希望退職」と「早期退職」の違いはあいまい
企業の人員削減には「希望退職」と「早期退職」という2つの「制度」があります。 労働政策研究・研修機構によると、一般的に「希望退職」は、経営難の企業が退職金を割り増しするなどして人員削減を図る一時的な措置です。これに対して「早期退職(早期退職優遇)」も、同じように退職者を優遇しますが、定年前の退職を促す「企業が定めた恒常的制度」とされます。 ただ、この2つには法的な規定や定義があるわけではないといいます。企業側がどういう名称で呼ぶかの問題であって、言葉の使い分けは、あいまいなのが実情のようです。 企業にとって、こうした人員整理にはリスクもつきまといます。一定人数の枠で退職者を募集するため、優秀な人材まで辞めてしまう恐れがあるのです。最近では自衛策として、希望退職の募集の際、条件に「会社が認めた者」との但し書きがつくケースが見られるようになってきました。 東京商工リサーチでは「希望退職制度は基本的にオープンだが、こうした措置で企業が人材流出に歯止めを図っている」と分析しています。