なぜ日本人は凱旋門賞を愛するのか? 日本調教馬シンエンペラーの挑戦、その可能性とドラマ性
カギとなるのは「3歳馬であること」?
凱旋門賞は「3歳馬が強い」と言われてきた。斤量が軽いからだ。確かにイギリスダービー馬やフランスダービー馬が強いレースだ。 だが、それも「年齢」というファクターによるものだけとも言い切れない。近年の成績を見ても、3歳馬も古馬も強い。というよりも、「3歳馬」や「古馬」というくくりで見るよりは「欧州を代表する本当に強い馬が、強い競馬をしてくる」といった印象だ。 例えば昨年の勝ち馬で、歴代の3歳馬の中でも飛び抜けた強さを感じさせていたエースインパクトのような馬もいるだろう。逆にソットサスのように、3歳時は3着に健闘、経験値を重ねてさらに強くなって4歳で凱旋門賞制覇という馬もいる。 海外勢は「年齢」では計れない。では、「日本の3歳馬」をどう見るか。 日本馬は「馬肥える秋」と称される4歳の秋に完成される傾向が今でも残っている。しかし、その中でも「特に強い3歳馬」はしっかりと見せ場を作ってきた。 凱旋門賞に挑戦した日本の3歳馬の中では、2013年キズナが見せ場十分の素晴らしい走りを見せて4着に好走。さすがはディープインパクト産駒を代表する名馬という姿を見せた。現在種牡馬として大活躍中のこの馬もまた、日本では「格が違う」というほどに強かった馬だ。 しかし、他の3歳馬は苦戦が続いた。雨による馬場の悪化など不運もあったがハープスター、マカヒキ、ドウデュースなどそうそうたるメンバーが厚い壁に跳ね返されてきた。 つまり“決定打”となるのは「年齢」よりも「現時点での実力そのもの」が大事ということが見えてくる。 日本馬は完成期を迎えた4歳馬での挑戦のほうが好結果を出しやすいが、3歳馬でも抜けた実力があれば好走可能。そこに「血統からくる適性」が加わり、さらに「近走の勢い」が加われば、5着あたり、3着あたり、そして勝ち負けするラインまで、ドンドン押し上げることができるという印象だ。やはり一番大事なのは、要となる『実力』だ。