イチローのトレード消滅?それとも?
■マー君獲得とイチロー残留を結ぶもの ヤ軍側は、今オフ、イチローをトレード市場に出し、ジャイアンツ、ダイアモンドバックスや、レッズなどの名前が挙がっては消えている。画策は今後も続くが、年俸約6億5000万円で40歳となったイチローに、実際に、手を挙げる球団はなかなか簡単には現れないようだ。年俸を肩代わりするなら、ヤ軍の総年俸を減らすことにはならず、贅沢税での“旨味”もない。 実際、エルズベリーは、昨季3度目の盗塁王を獲得しているイチローと同タイプの外野手だが、レッドソックス時代には、長期戦列離脱を伴う故障が多かったこともあり安心とは言い切れない。イチローを置いておいて控えで起用することは、贅沢で堅実な戦法でもあるのだが、トレード話は完全に消滅はしていない。天才打者の置かれた立場は、依然、不安定な状況なのだ。 では、もし、このままイチローがヤンキース残留ということになれば、それは選手生活の終焉期を迎えた天才打者にとって良いことなのだろうか。記録的な面で言えば、控え選手になれば、当然、打席数は減り、殿堂入りを決定的にするメジャー単独3000本安打への道のりは遠のいてしまう。だが、その偉大な個人記録以上に、イチローが野球選手として熱望しているのが、まだ見ぬ世界一の達成である。世界一へ邁進できるならば、控えであれ、モチベーションは高くキープできるだろう。 今オフ、ヤンキースは、外野陣を始め、捕手のマッキャンら積極的補強を進めている。先発投手陣は不安だが、注目の田中将大の獲得に成功すれば、そのウイークポイントはカバーできる。ヤンキースが、マー君を獲得して本気でワールドシリーズ制覇を狙うチームを編成すれば、例え、置かれた立場は微妙でも、イチローは、大きな目標に向かってキャンプインを迎えられるはず。そう考えるとマー君の獲得とイチローの去就は無縁とはいえないのだが……果たして……。